小学5年生になって、息子は今までのことが信じられないくらい落ち着いていった。
 可愛い少年そのものだった。子供ってこんなに素直で可愛いのかと、醍醐味を味わっていた。ようやく細かいしつけを始められるようになっていった。
 それでも息子は「できない」ので、一つ一つのことが身につくのにとても時間がかかった。先生はやはり理解がなくて、学校で度々それを指摘するようになり、周りのクラスメートも、先生が度々口にしたその言葉で息子をいじめるようになっていった。私は今でもその先生のことを許せないでいる。息子も然り。
 5年生の頃は、とにかく先生との話し合いが多かった。それでも理解はされなかったし、うるさい親だとクレーマー扱いだったのだと思う。それでも「できない」息子を守らなければと思った。息子は日々努力をしていた。それでも身につかないのだ。それが特性だということは、先生の辞書にはないようだった。
 小6の途中から息子はまた細かく反抗するようになった。面倒くさかったけど、5年生までの大変な日々を思えば、割り切ることができた。
 中学一年生の途中までその細かな反抗が続き、それが収まった頃、今度は話さなくなった。機嫌の良い時しか話さないというそれまではなかった状況におおいに戸惑って寂しく感じた。ただそれも割り切れるようになっていった。
 中学三年生の今、息子と共通の趣味を持つことで話題を作っている。そうやって風通しを良くしていれば、機嫌の良い時に他のことも話してくれることが時々ある。たださすがに親の言うことを素直に聞くようなことはなくなった。結局息子が素直に親の言うことをそのまま聞いて努力したのは、5年生の頃と6年生の途中までである。
 それでも息子は息子なりに成長した。できないことも少しずつできるようになったし、どもりもほとんどなくなり、爪かみにいたっては一切見られなくなった。落ち着いていて穏やかで、友達もそういった子たちばかりだ。フザけることは好きだけど、そこらにいる中学生と同じ程度である。
 ただストレスを抱えやすいことは変わっていない。
 そしてこれも私の育て方だと理解のない人がいる。
 多分、アトピー性皮膚炎やぜんそくの子を持った親たちならわかってくれると思う。
 子供のストレスが体に出る時、それは体の疲労が蓄積された時、或いは心の状態を表していることもあるということ。それが体であれ心であれ、とにかく疲れが蓄積された結果なのだ。大人だってそうなのに、成長していく子供に症状が出ることは、おかしくない。特に中学生という体のホルモンが激変している時に、不調が続くことだってあるだろう。
 私の息子は、アトピー性皮膚炎だと皮膚科でも内科でも診断されないが、極端な乾燥肌ではあるらしい。体のあちこちに傷を作り、皮膚科や内科は欠かせない。さらに私と一緒で自律神経の調整が下手なようで感じ方は繊細、夫の「疲労が続くと微熱が下がらない」と不安症いうことを引き継いでしまっている。