『リメンバー・ミー』を観た。
 ディズニーピクサーの映画で、観たいと思っていた映画である。
 メキシコが舞台で、日本で言うお盆の行事のような日に起こる出来事を中心にしている。この映画で、メキシコの文化を少し知ることができて、面白いなあと思った。「日本で言うお盆」と書いたように、非常にその辺りの考え方が似ていて、親近感が持てた。
 ただ、メキシコでのあちらの世界は非常に美しいんだなあと、その景色を見ながら胸がいっぱいになる。こんな風に考えられるって素敵だ。メキシコでは、こちらの世界でもお盆の日に飾る物が色とりどりの紙の切り絵とか美しくて素敵。日本はせいぜいナスに足を生やすくらいである。と思っていたら、ああそうだ、ちょうちんがあるではないか。白地に淡い色で絵が描かれており、中から灯がともる。灯かりがグルグル回ってとても美しく、訳もわからず「あれが欲しいなあ」と幼い頃思ったものだった。
 主人公ミゲルが、家族、親族に反対されてきら自分の夢を諦めきれず、あちらの世界に行って戻ってくるという話だが、あちらの世界の考え方として、すごくわかると思うのが、「死者は二度死ぬ」といった概念である。一度目は肉体の死。二度目は、生きている人たちの記憶から忘れられた時の死である。二度目に死ぬ時の描写が漫画チックなのに、どうにも切なくて見ていて哀しくなる。そのように「二度死ぬ」と思ったことはないけど、わかるなあと思ったのは、人が死んでも、私たちの中でその人は生きている、という概念があるからだ。それはその人の思い出であり、例えば親族であればそっくりな部分や似たところを自分の中に見つけると、あの人が私の中に生きているんだなあと思う。そう感じていることで、「二度死ぬ」という考え方は、なるほど、とすんなり納得できた。
 ミゲルが、こちらの世界に戻ってきてからがこの映画の心揺さぶられるところで、ひいおばあちゃんココとの交流に、胸を打たれるのだ。元々ミゲルは、車いすで何を考えているのかわからない、ほとんど喋らない、会話もとんちんかんなココに話しかけるのが大好き。そんなココに、「知っているでしょ?」と言って、親族に禁じられている音楽、歌を歌って聴かせる。親族が止めに入ろうとしたり驚いたりしている中、ココは笑顔になって、自分の父親の写真を取り出す。その歌を覚えている。と言う。ここがとても感動的で心を動かされる。ココの心の中のお父さんが薄れていっていただけに、涙が止まらなくなる。多分多くの人が、自分の身近な誰かを重ね合わせたシーンに違いないと思う。
 しかしだ。
 ディズニーピクサーの映画に、毎度私は騙される。毎回毎回、私はアホかと言いたいくらいに、作者の思うつぼで、この人がこうだと入り込んでいたら、終盤でどんでん返しがくる。終盤のどんでん返しなど毎度考えておらずにすぐにその世界に入り込んでいるので、やっぱり「えっ? この人がこうだったの?!」と幼稚園児みたいにあっさり引っかかる。幼い頃、10回クイズに、自信満々でもれなく引っかかった当時の私を思い出す。本当に私はアホかと思うのだ。きっと映画好きな彼女ならそんなことはないに違いない。