テオヤンセン展を観に行った。
 「テオヤンセン展」とか、当たり前みたいに書いているけど、初めて耳にした時は、テオヤンセンテンテナニ?と思っていた。テレビのCMで初めて見て、「うわっ! 何これ? どうなっちゃっているの?」とびっくりした。骨組み丸出しのでっかい物体が動いている。エンジンが見えない。どうやら風力で動いているらしい。夫は仕事柄というか好きな分野の物なので、以前からよく知っていたようだが、私はとにかく初めて見た。風でも動くし、人が動かすこともできる。この動きがどうにも不思議な気持ちになる。本当に生き物みたいなのだ。
 テオヤンセンは、オランダの人らしく、工学科を出て後に彫刻家となったとのこと。実際に観てみたい。どうなっているの、機械でもないのに、風の力とは言え、どうしてあんな風に動くの? 息子も好きなはず、見せたい! と強く熱望してみたら、息子も良いねという返事だったので、一番近い休暇の、優先順位は上の方になった。
 着いてみると、入り口手前に一つ、動かしてみる体験コーナーがあった。プラスチックでできているというそれらの作品は、近くで見ると、竹細工みたいだった。足の先のような部分は半円形になっていて、ソフトに着地するように作ってあるのか、何だか原始的。動かすとギシギシときしむ音がする。でも少し動かすだけで、足のようになっている10近くもの部分が地面を蹴り、バランスを取っている。当たり前だけど、決してパーツ同士がぶつかり合うことはない。この動きが計算づくであることに、感嘆の声が出ちゃうのである。でも目の前で見てみると「なるほど、こことあそことつながってあのように動いて」と少しわかった。多少わかっても、やっぱり不思議な気持ちになる。こんな大きな物を作るなんてすごいなあと思う。後から夫に、テオヤンセンの書いた設計図の一部を見せてもらったが、とても細かかった。そしてその中に「この部分はこのように動く」という下書きも書いてあるのだが、それが物理の苦手な私には「何故それがわかるのか」と理解できない。その辺は「よくわからないけどとにかくすごい」としか思えないのが残念である。とりあえず、どの作品も大きく、そして美しいと思った。
 最初の展示、体験コーナーの作品は、上の部分も人の倍くらいあるし、幅なんか車を横から見たくらいあるのではなかっただろうか。その中心部分を押すと動かせるようになっていた。夫も息子も列に並んで動かしてみた。割と並んでいたので、私はカメラ係で良いと思った。歩いている親子たちから色々な声が聞こえてきた。