映画そのものの話ではないが、この歳になって、新しい友人ができた。別のカテゴリーでも書いたが、夫の後輩である。後輩と言っても、ダンナさんの方ではなく奥さんの方。二人とも夫の後輩なのだ。ちょっと立場のことを考えると、彼女がどう思っているのかはわからないのだが、私はもう友人だと思っている。
 彼女とは、映画が好き!という共通の気持ちがあった。でも話せば話すほど、好みが違うことが明らかになっていく。違うから「この映画良かった」という感想がほとんど一致しない。『ニューシネマ・パラダイス』や『最強のふたり』くらいかな、一致したのは。
 何より驚くのは、彼女の知識だ。夫の後輩であるからか、私にとっては理系独特の感覚があると感じている。監督、俳優、作品名、そして何より驚いたのがその映画の中の音楽や作曲家の名前を覚えていることである。私は読み流して決して覚えようとしないカタカナの名前を次々と出してくる。
 夫も似たようなところがある。映画の監督や俳優の名前を割と憶えているし、お笑い芸人の出る番組も、プロデューサーや作家の名前をチェックしている。これは息子も影響してしまって、二人であーだこーだと話している。だからツイッターも、私の場合は面白いと思うお笑い芸人さんのフォローをしているのに対し、夫はそれだけでなく、番組を作っている側のフォローもしている。同じようなタイミングで「○○(番組名)やるんだって」とか「今度、○○(番組名)にあの人出るんだって」とか言うことがあるが、夫は番組を作っている側からの情報、私はお笑い芸人の宣伝のツイッターからということがあり、情報源が少々違う。
 話が少しそれたが、そういう風に、裏側のことまでちゃんと頭の中に入っている人たちを私は人種が違うと思っており、でもそれはそれですごいことだと尊重している。私は面倒くさいから覚えない。覚えようかなと思っても覚えられない。
 新しく友人になった彼女は、話している方向が別々でも構わないと書く。にしても、全然違う。私はメロドラマとか、怖いのとか、重たいのが苦手になってしまった。前はそんなことなかったのだけど、私にはどうにもそういうのを消化するエネルギーに欠けている。感傷的な部分を前面に出した映画も好みではない。単に哀しく辛くなってきちゃって重たい気分になっちゃうからだ。あまりに悲しくなってくると、怒りさえ覚えてしまう。芸術的なものや説教を感じるものも面倒くさい。年取ってきたのか社会派なものも疲れるようになってしまった。ああ確か10代の頃、若い人へのエールを込めて「やがてバカとなる日のために」本をたくさん読んでおきなさいという椎名誠のエッセーを読んだことがあるが、今の私はそっくりそのままその言葉を若い人たちに送りたい。だがしかし。今回書いている彼女に関しては、多分私が今書いてきたものが全部好きで、ラブコメが苦手。ホンモノ志向のようだし、そこに関してのこだわりが強く、素人くさいと気になるらしいし、矛盾とかちょっと不自然な展開に厳しい。もっと気楽に観ちゃうよ私は。と思っていたが、最近自分が書いてきた物を読んでいて気が付いたことがある。