更年期に入ってきて、変化したことの一つに、肌のことがある。
 これが更年期じゃなく、単に加齢によるものだと言われたらそうなのかもしれないが、更年期のせいにしちゃえば、「きっと治るのでは」という淡い期待を抱き続けられるから、更年期のせいにしている。
 そんなわけで、肌がかゆい!
 あちこちかゆい!!
 肌は昔から決して丈夫な方ではなかったけど、格別に弱かったわけではない。と、息子を見ていて思う。息子は、アトピー性皮膚炎ではないそうだが(皮膚科、内科医の診断により)、かなりの乾燥肌らしく、幼い頃から、肌のことではずっと何かしら困らされている。なんなら0歳で初めて病院に行った理由が「お尻のかぶれ」である。オムツも一つのメーカーしか合わなかった。というか、一つでもあって本当に良かった。5歳くらいの頃にはとびひで、幼稚園を一か月休まなければならなかった。そして今も塗り薬やのみ薬は手放せない。
 そんな息子を見ていると、私の肌の弱さなんて大したことないなと思うのだ。顔に合う化粧品はごく限られているし、食器洗剤にもまけまくった過去の思い出があるけど、例えば衣類の洗剤は強いものでも平気だし、食器洗剤は今となっては割と強い物を少しなら使い続けても大丈夫。湿疹もそんなに出ない。中学受験の時に毎晩蕁麻疹が出ていたけど、当時は寝不足だったので仕方がなかった。よく毛穴からばい菌が入っておできもできちゃうけど、とにかく体がかゆくてどうにも仕方がない、という経験はなかった。
 ちょっと前までは。
 でもここ数年、体がかゆすぎて眠りづらいことがある。そんな時はアレルギーの薬をのんでみたり、自律神経の薬をのんでみたりする。すると落ち着く。
 さらにここ半年くらいのことだが、以前よりセーターのチクチクが体に直接ひびくようになった。チクチクすると思って背中に手を入れると、髪の毛一本が収穫されることもある。「こ、こんな髪の毛一本ごときに気づくのか!」という驚きがある。しかも度々そんなことがある。髪の毛を切って、切った髪の毛が背中に入ると、一本だろうと結構敏感になるものだが、そんな長い抜け毛をいちいち気にしたことはなかった。なのに、「かゆい!」と思って背中のその部分を直接かこうとすると、髪の毛一本。ああまたか!と思う。
 肌がとにかくカサカサしがちだ。全身どこもかしこもかゆくなることに閉口する。
 そして息子の「かーゆ!」「かゆ!」が、私の口癖だったことに、改めて気づかされてしまうのだ。