「ジョジョの奇妙な冒険」を観に行った。
 元々話題になっていた「漫画」である。だけど、残酷なシーンがたくさんあり、ガチャガチャと目にうるさい絵のタッチが私は読みづらくて読みたいという気持ちはなかった。
 でも話題作は、なんだかんだ言える程度には知っておきたいという好奇心の強い夫である。読んでみたら面白かったらしく、息子に勧めていた。息子も中学三年生。さすがにそういうシーンも平気らしい。
 ニュージャージーで幼少期を過ごした私としては、暴力的な画面から親が子供を守るということは常識だと思っている。当然時代もあるけれど、これは子供には見せたくないという暴力的な番組は子供には見せない、そういうシーンが出てきたら親がパッと子供の目を覆う。そういうことに驚いた日本人の親が「親として当然でしょ」という外国人のセリフを聞いて感心したという話を聞いたことがある。今はチャンネルをひねれば簡単にそういうシーンが目に入ってくるというのは、日本より雑だなと思う。私はとにかく「痛いのはいやだ」というのや、「怖いのはいやだ」という単純な気持ちからきている。子供が何かにのめり込む要素があると、親が気を付けて与えなければいけないのは当然のことである。「気を付けて」というのも、ちゃんと説明できるかどうか。親が納得しているかどうかというのも重要だと思う。そこでの話し合いや子供の感性を親が見極めることも大事だろう。
 しかし思い返せば、私は5〜6歳の頃、ゴレンジャーやらゴジラやらよくテレビで観ていたものだった。怪獣や敵がこっぱみじんになるシーンがその後の人生に影響を与えたかと言えば、全然……。小学六年生の頃には、「北斗の拳」が主に男の子の間で大人気であった。かなり残酷なシーンは多くて、漫画と言えど血だらけ……というのが私の印象だ。私が当時、まじまじと読んだわけではなかったけど、知識としてちょっとは知っていた。やっぱりそういうのが苦手で、あえて読もうとも思わなかった。だけどクラスの中で、色白、髪の毛の色も目の色も茶色で、丸顔、目が大きくてクリクリ、ピアノが上手な男の子が、「北斗の拳」のセリフをよくマネしていたことを思い出す。彼が「北斗の拳」が好きということは印象に残った。こういう子でもあんな漫画を受け入れちゃうくらい、男の子ってああいうのが好きなんだと思った。それを読んだからと言って、別に何かに影響するわけでもなく、男子同士で「北斗の拳ごっこをやってキャッキャと喜んでいる。きっと、人によるものなんだろうと思う。その子の素質と育った環境。
 そんなことを言い聞かせつつ、息子がそういうのを面白く読んでも、さすがに悪い影響はないと信じることができるので夫と息子が盛り上がるのにまかせていた。でも映画で観たいと言われた時にはちょっと困った。そして私だって話に加わりたい、話の本質を知りたい、という気持ちから観に行った。……と思ったけど、結局怖いのが9割であった。本質的なメッセージもそんなになかった。だけど、意外とストーリーとしても発想も面白いなと思えてしまった。私は観終わってから、ウチにある漫画を読んだ。
 そして翌日「ミニオンズ3」を観に行って驚いた。ミニオンズが主役だと思っていたけど、ストーリーにほぼ関わってすらいないことに。可愛い映画ではあったけど。