中高時代の同窓会があった。
 私が知っている限りは、20歳の頃にあった同窓会以来、25年ぶりである。クリスマスカードを交わすだけの間柄の彼女は、学年委員長をしていたり、よく責任ある立場をまかせられていた。大きな財閥の子供であることから、そこの子供さんも含め、長い間その学校に関わり続けているので、情報が完全に途絶えることはなかったと思う。でももしかしたら、クリスマスカードに書かれていても、今までは色々必死過ぎて、読み流していたのかもしれない。
 とにかく、20歳頃の同窓会、私は出席した。
 今まで、このエッセーに書いたことがあると思うが、私は自分の出身校に強い誇りを持っている。おおらかで知的な先生方と、やっぱりおおらかで面白い同級生たちに恵まれ、毎日がとても楽しかった。と言っても、そこに微妙な気持ちが紛れていたことは、最近になって自覚したのだが。当時は、そのままそこの女子大に上がり、まだまだそこの学校の校風に酔いしれていた私なので、同窓会には当然だと思って出席した。よく覚えていないけど、単に楽しんだと思う。
 だけど。
 今回は、まったく出席する気持ちにならなかった。
 そもそも遠い!
 それに、子供がいるので、そのことのために夫や子供を置いて行く気持ちになれない。置いてでも、自分たちでやってくれと思ってでも出席したいなら、話し合ってわかってもらう努力もするかもしれないが、私にとってはそこまで大事に思えない。いや、どんなに親しい友人でも、会いたいからじゃあ会いに行くねとは、私は思えないのだ。時間もお金も相応にかかる。ここでの生活がある。家族が優先順位では一番。
 そして、友人に「遠いから出席できないよね」と言われた時。
 今書いたことだけじゃない「いや、出席したくない」という気持ちがわいた。それは「近くても出席しないだろう」と想像した時に、自覚した気持ちだった。
 「会いたくない人が会いたい人の3倍くらいいる」と思ってそのように返事したと思うが、冷静になって振り返った時、3倍どころじゃないことに気付いてしまったのだ。会いたい人なんて、10人もいるだろうか? いないかもしれない。会ってもいやな気持にならない人もいるだろう。でも合わせてもせいぜい30人くらいじゃないだろうか。180人くらいの学年なので、あとの150人くらいは会いたくないのではないだろうか。いや、正確に数えれば、会いたくない人はさすがにもう少し少ないかもしれないが、でも思いつく人思いつく人、嫌な感情になる。
 当時はどうしていたのか。こんな嫌な気持ちを抱えながら学校に通っていたのか? 
 ……いや、やっぱりそんなことはない。嫌いな友達、話さないのにいやだと思う同級生は山のようにいたけど、面白くて楽しい同級生と過ごすことがそんな気持ちをかき消していたのだろう。