『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2』のサントラが、映画の余韻を強化しているのは間違いない。だけど映画を観終わると、何度でも聴きたくなる。歌詞がその場面に合うようにあてているサントラは、後から曲を聴くと直接その場面を思い出すことになる。
 例えばヨンドゥの怒りで残酷なシーンで「COME A LITTLE BIT CLOSER」が流れる。仲間と認めた感じがちょっとグッとくるような、でもドギツイ言葉のようで、軽快なメロディだからつい爽快に感じてしまう。残酷でカッコいいシーンなのだ。
 そして何よりも「MR. BLUE SKY」なのである。
 映画が始まる時に流れるこの曲。とても印象的だ。前作「1」にて身を挺した木の精のような存在、グルートが、小さな挿し木から成長の兆しが見えて終わっていたが、「2」では人間で言えば、幼児期くらいの子供であろうか。あの挿し木がこのくらいに成長したんだと想像する。もう「そりゃズルいよ」と言いたいくらいに可愛いフォルムでいる。「1」の最後の方で本気で仲間として絆を確認し合った皆が、このグルートをいかに可愛がっているかが、「2」の最初の場面でもうハッキリ表れるのだ。周りの皆は、巨大な魔物のようなものと思い切り戦っているのだが、「MR. BLUE SKY」が流れ、軽快で陽気なメロディに、グルートはノリノリで踊っている。その様子が何とも可愛い。そして皆の、気に掛ける様子が何ともほほえましい。ピーターは「グルート!」と声をかけるが、魔物にふっ飛ばされながら戦っている。ガモーラもグルートに「気を付けなさい」とか言っているが、グルートが手を振るとつい笑顔で「Hi」と声をかける。そこはもう親子の関係のようだ。ドラックスがそばでグルートを見るとグルートは動きが一瞬止まる。ドラッグスが「俺は踊るタイプではない」と何度も言うことと関係があるのだろうか。ロケットはそんな物を口に入れるんじゃないとか注意する。このドラックスやロケットの様子は、「1」での関係を彷彿とさせ、大きかった時のグルート、又挿し木になったグルートと関係性は変わらない。皆が家族のようになっている。そしてこの曲が、この映画全体を表していると言って良い。どんなに殺伐とした風景でも残酷なシーンでも、彼らは陽気にふざけながら、宇宙を守ろうとする。仲間との絆を確かめつつ助け合いながら。笑いはあちこちに散りばめられており、切なさが混じっている。そしてこの曲の歌詞、「Mr.Blue」に捧げているようなものである。「Mr.Blue」と最初の場面で呼びかけていることを知るのは、映画を観終わってサントラを聴きながら、映画の解説を読みながらである。最初の場面も歌詞も、この映画全体を象徴する曲なのだ。このせいで、可愛くほほえましいこのシーンが、もう泣けちゃう。この曲にそんな意味があったなんて。聴いただけで胸がいっぱいになる。
 ちなみに最後にかかる曲だけが、この映画のために作られた曲。自分の心の父だと思いたい、ピーターの大好きな「デヴィッド・ハッセルホフ」が作り歌っている。歌詞がこの映画のことをあまりに軽々しく簡単にラップで説明し、「だって俺のパパ、惑星なんだぜ〜」てなことも軽く言ってのけ、自分の名前を間違えられたことまで連呼する。そして最後に「1」でも胸に響く「We are Groot」というセリフが流れる。このバカバカしくもカッコいい曲が私は大好きだ。