音楽のカテゴリーに書きたいくらいなのだが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2』の中で使われている音楽がすごく良いのも、また余韻を引きずりまくる要因の一つである。
 夫が話していて「そうそう、そうだよね!!」と大きく賛同したのだが、最近の映画は、70年代前後の曲を引っ張り出してきて、しかも映画の状況と合わせたような直接的な歌詞のものを場面に応じて流す。『オデッセイ』でもそうだった。それほど映画に詳しくはない私なので、『オデッセイ』を観た時に初めて気が付いて、面白いことするなあと思った。「Starman」とか「Waterloo」とか「Hot Shot」とか。
 今回、「FATHER AND SON」がものすごく胸を打った。1970年にリリースされたキャット・スティーヴンスの曲らしい。これがかかる時のシーン。悲しく、画面は美しく、皆の思いが表現される。歌詞は、父と息子の気持ちであるが、もちろん母親だって子供にそういう気持ちを持つし、息子の気持ちもわかる。自分にもそういう時期があったっけと思うこともある。以前、息子が思春期特有の迷いや焦りや不安を訴えてきた時に、アンジェラ・アキの「手紙」の歌詞を見せたら、胸に響いたようで、ベッドの横の壁に貼っていた。内容は本質的にちょっと似ていると思う。思春期以降、ある程度成長しきるまで誰もが抱く感情だからなのだろう。大人にならないとわからない、「焦らなくても大丈夫だよ、ゆっくり歩きなさい」という気持ち。だけど、物心がしっかりついて自我もはっきりして将来に不安を抱き始めた時、それを簡単にかき消してくれるものはない。ただひたすら真摯に人生に向かう気持ちと、そこからの経験である。なーんていう説明をいくら親がしても、子供は納得してくれない。でも人の書いた歌詞を見ると割と納得してくれる。私も中高生以降、音楽にどれだけ心を動かされ励まされてきたことだろう。
 「FATHER AND SON」は、「焦るな、落ち着いてゆっくり考えるんだ、良い子と結婚して、幸せになれ」「俺はもう年を取っているけど幸せだよ」というような内容である。そして息子側からの「大人は同じことばかり言う。古い話ばっかり」と反発する。これがヨンドゥの思いと重なって、もうもう泣けちゃうのだ。子供は、「自分の気持ちなんてわからないだろう」と思っているだろうけど、わかるよ、だけど焦るなという。でも大人の側は、やっぱり理解できないだろうとわかっているし、自分で考えて自分で歩いていってほしいから、多くは語れない。子供も自分で親から離れなければならないと知っている。
 この曲、字幕が出ていて、息子は観終わった後に、「良い曲だから、もう一度歌詞を見たい」と言って、検索して英語で出ているのを一生懸命読んでいた。息子が気に入るとは思わなかったので、胸がいっぱいになった。思春期の最中なのでちょっと不愛想な息子だけど、この曲を良いと思った感性が育っていることを嬉しく思う。
 実は、夫は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2』を観ることにしてから、いや、映画が公開された時からおそらくサントラを買うと決めていたのだろう。私たちは映画を観る前からそのサントラを車の中で聴いていた。でもやっぱり曲だけだと、「アメリカ人て、油断するとカントリーになるよね」という程度の感想だった。ところがこのカントリー調の古い曲が、映画を観てからめちゃめちゃ胸に響いてくることとなる。