『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2』が出て、あらあら、ああいうのが好きな人たちがいるんだと思っていて、また夫に誘われるかもしれないと私は息を潜めていた。隠しようがないので、やっぱり夫に誘われた。ああ……観に行かなくてはいけないのか。あの続きを。別に続きなんてなくて良いじゃないか。また殺伐とした風景が次々と出てきて、乱暴な言葉でたくさんの生命体が死に、残酷で暴力的な痛みを感じてしまう場面が……とか思っていると息子も「観たい」とか言っている。ゴジラほど怖くはないから観ようか。できるだけ映画は、自分が心を開いている人と感情を分かち合いたい。
 しかし書きながらというか読まれながらバレバレだと思うが、そもそもこうやって書いている時点で、私が心を動かされたという証拠なのだ。そしてこれが。もう!! しばらく引きずってしまうくらいに心を動かされている。ここから先はネタバレが入るので、観たいと思っていたら、この先は絶対に読まない方が良い。私は何日経っても余韻いっぱいなので、思い切り書いて少しガス抜きがしたいくらいなのだ。
 何がどうってもうヨンドゥなのだ。
 今回の映画を気に入っている多くの人が、映画の中でヨンドゥを愛したのだ。
 「1」を観てもあんな感想を持った私の方が、感性が貧しかったのではと疑うくらいである。いや、「1」を観て、「2」の終盤までずっと、私たち観客は騙されていたと思う。気が付かなかった。気が付かないというか気にもとめていなかったと言って良いだろう。だから「ええっっ?! そうだったのかあああ〜〜!!」と頭を抱え、自分の感性を悔いるくらいに心を動かされるのだ。なんだよしてやられたよ。
 前作「1」を観て、漠然とした感想しか持っていなかったし、あらすじもうっすらなので、あんなに「一部の人が言うほど、そんなに良い映画かな。怖かったし」とか思っていた私が結局「2」のせいで「1」を見直すことになるのだが、とにかくこんなに思惑を裏切られると思わなかった。期待していなかったという以上に、マイナスの感情から観始めた映画である。きっとまた殺伐とした風景を目にしながら、地球や宇宙の将来を憂いてしまうのだとか思っていたけど、なんのなんの、私はボロ泣きしてしまったのだ。そこが映画館でなく、夫や息子もいなかったから、しゃくりあげるくらいに泣いてしまいそうなのをこらえたくらいだ。手で拭っても全然足りなくて、ハンカチを取り出しあふれ出てくる涙をぬぐった。両側の夫と息子は静かに観ていた。気が進まなかったはずの私だけ大号泣である。……いや、泣く映画が良いわけではない。人が死ぬ映画も嫌いだ。だけど、格別に肩入れしちゃう登場人物が亡くなる映画は好き嫌い関係ないと気づいた。『ニューシネマパラダイス』も『マイガール』も、その部類なのかもしれない。だから、どちらの映画も人が死んでも、好きな映画のままなのかもしれない。
 こんな暴力だらけの残酷映画で、こんなに泣かされるなんて。こんなに心を動かされて登場人物の一人一人を好きになるなんて。もはや家族とか仲間の絆は、この映画の本質的なところとかを超えて、この映画そのものである。