そしてなんと、映画館でも観ることになってしまった『ララランド』。三回目は映画館にて。夫に付き合うことになり。と言っても、私も相当気持ちが乗っていた。歌を歌う部分で、何を言っているのか知りたかった。あと、ミアの声を知りたかった。吹き替えは、いわゆる吹き替えの声で、吹き替えの人が悪いとかじゃないのだが、単に自分のイメージしているものと少々違うから、実際の声を聞きたかった。
 この映画は、面白いことに観れば観るほど良い。いやもしかしたら、映画館の効力なのかもしれない。一切他の情報がなく、画面に集中し、画面自体も大きい。やはり小さい画面だと周りの必要ない情報が色々と視界に入ってくるもので。でも新しい発見とかじゃなく、観ても観ても単純にどんどん楽しくなっていく。
 歌うシーンも、踊るシーンも全部素敵だったし、曲の歌詞は、映画に沿っていて全部良かった。わあ歌ってみたい。そう思った時点でその曲が自分に入り込んできていることを知る。ミアが自分の力を思い知らされるところも、今まで「そういうもんだよねえ」くらいに思っていたのに、映画館で観ると、涙が出てくる。自分の力不足を思い切り知って惨めになる気持ち。誰もが味わったことあるだろう。映画館で観てようやくグッと来た。
 そして最後を知っているからこそのクライマックス。ここは先を知らないで「あれっ?」と終わるよりは、話の筋を知っている方が断然良いと思った。でも初めて観る人にはやはり事細かくまでは言えないかなあ。二度は観てほしい映画なのだ。音楽としても。
 踊りは、夫とも盛り上がったのだが、二人とも上手だったし、ミアのすらりとした手や姿勢の良さが見ていて気持ち良い。音楽は、もう頭から離れなくなる。飽きるまで聴きこんでやろうと思い、車の中でCDをかけ続けているのだが、なかなか飽きない。ある日は、寝る直前までグルグル曲が頭の中を回っていて、起きてからすぐその曲がかかったくらい。色々な曲の中に、同じ旋律が入っていて、その部分がより強く印象に残る。
 この映画を批判する人もやはりいて、それは好みの問題だから仕方ないのだけど、ミュージカルじゃないだの、ジャズじゃないだの、二人しか出てこないだのと色々な意見を、あえて見聞きした時に、そうですか、ハア……とちょっとため息が出る。それが批評という仕事なのだろうけど。私のような批評家でもない人が、つまらなかったと思った時に、いちいち「あの映画はこうだからつまらなかった」と書くことも特に悪いことではないけれど。期待して観た分、ガッカリするのかもしれないですね。でも映画に対して厳しい観方をし、優秀な映画を観たいのであれば、できるだけ評論家がきちんと評価した非の打ち所のないしっかりとした渋い映画のみを観たら良い。安易に評判になった映画を期待たっぷりに観に行かなければ良い。ジャズだって、セブの弾いているものが違ったとしても、ジャズが好きで情熱をかけているという設定なのだ。私はそんなにリアルな世界をいちいち映画に求めていない。あと、男女間の気持ちを描いた映画ってこういうものではないかい? 人間関係を複雑にしたからと言って良い映画なわけでもなし。気持ちが少しでも動けば、それで私はその映画を観て良かったと思っている。単純だとしてもその方が楽しい。  
 私はこの映画、すごく楽しかったぞ。