更年期が近づいてきて、色々と体の異変を感じ始めているが、耐えられない生理痛は辛い。また学生時代の頃〜結婚して間もなくの頃のように、一日か二日は自分が全く使い物にならなくなってしまった。ゴロゴロしていないと、座っていることも辛かったりする。
 中学生や高校生の頃も婦人科に行って検査したように、今回も婦人科に行って、何かしら異常はないかと検査をしてもらったが、やはり昔と同じ、異常はまったくナシ。
 でもその時に「あまりに大変だったら、漢方薬という手もありますよ」と言われた。
 「ああ……」と曖昧に返事をした。漢方薬は私にとって、気休めという印象しかない。そればかりか、いつも胃を荒らしてしまうので、「じゃあ漢方薬出してください」と積極的に言えなかった。
 しかしある日、ドラッグストアでウロウロしながら、ふと「そう言えば漢方薬を見てみよう」と見ていたら「更年期のイライラに」とか書いてある。
 そう。痛みと共にイライラも相当ひどくなっていた。それがホルモンによるものだということもよく感じていた。というのは、生理が終わる頃に、気持ちがストンと落ち着くのを感じていたからだ。いや本当に「ストン」て耳元で音が聞こえるくらいに、直前までの自分と違うのだ。そしてそれが次の生理が始まるまで落ち着いていて「何であんなにイライラしていたのか」と思うのだ。もうホルモンに踊らされているのは自分でものすごく感じた。イライラと共に落ち込みもひどく、よく自分を責めてしまっていた。イライラして周りに当たってはかなりの自己嫌悪で落ち込む。この感情の動きの繰り返しが、猛烈に疲れる。夫や息子に迷惑をかける。これをどうにかできないものかという思いもあった。
 そして、ふとその漢方薬、「加味逍遥散」が目に留まった。
 実はこれ、以前、どの医者だったかに「アナタの体質なら、加味逍遥散が良いと思う」と言われたことがあったのだ。その頃、少し試してみたが、大して効果がないように思われ、すぐにやめてしまった。やっぱり胃も荒れたし。でも当時は今ほど全体的に症状は重くなかったのかもしれないと今なら思う。
 また少し試してみようと思った。
 胃が荒れるのがいやだし、副作用が出たらいやだからまずは半分から。
 生理前で、やはり落ち込みが激しくちょっとしたことでイライラし、自分を責めていた。色々な感情が押し寄せてきて、ため息が出るようだった。そしてふと加味逍遥散の存在を思い出し、とりあえずのんでみようと思った。
 それから出かける用意をして、歩いていたのだが、色々自分を責める材料ばかりが思い起こされてしまい、涙が出そうなのをこらえていた。そしてある瞬間に突然その気持ちが落ち着いた。普段、生理が一段落して「やっぱりホルモンに踊らされてたのかあ。もうなんでもないのになあ」と、ストンと落ち着いた時の感じとものすごく似ていて「あれ?」とびっくりした。なんで急にこんなに落ち着いているのだろうと。
 そしてふと自分が加味逍遥散をのんだことを思い出し、腕時計を見た。のんでから大体一時間が経っていた。