以前はそれほど自覚がなかったのだが、カレーが好きである。
 子供の頃、自宅でカレーが出された時に「やったー!」と思ったものの、好きな食べ物は多かったので、そんなに「特別なほどの」大好物という自覚はなかった。
 カレーの思い出の一つに、兄と作ったことがある。母の体調が悪かったため、自分たちで作った。兄は中学生だったはずだ。私はまだ料理などしたことなかったから、確か横でほとんど見ていただけで、兄に言われたことの一つもしたのだろうか。そして野菜を茹で始めた時に、水が多すぎたらしく玉ねぎだけが浮いて見えてきたので「これで良いのか」感が満載で、兄と爆笑した。味はまったく覚えていない。その後、キャンプのリーダーをした時もグループでカレー作りを競ったことがあったが、これまた水の量が多すぎて「水が多すぎるんじゃ……」という一人の子供の声を横で聞きながら、他の子たちにまかせていると、本当にシャバシャバのカレーが出来上がってしまった。当時は料理をしていたが、カレーは基本過ぎて作っていなかったのではなかったかな。とにかく出来栄えがショックで、他のおかずが作れるのにカレーが作れない自分(子供たちにアドバイスできなかった自分)に落ち込み、ちゃんと覚えようと思った。
 その後、知り合いの家で食べたカレーにブロッコリーが入っていたことに驚いた。私は母の作るカレーが好きだったが、これにブロッコリーを入れるともっと美味しいに違いないと、オリジナルのカレーを作ることにして、それはずっと続いている。
 カレーうどんも好きだった。小学生〜中学生の頃、歯の矯正をしていて、歯医者に行く時に父や母に必ずレストランに連れて行ってもらっていたのだが、度々カレーうどんを食べた覚えがある。一つの物が気に入ると、しばらく固執してしまうタイプなのだが、天ぷらうどんからようやく脱却できたのはカレーうどんのおかげであった。でも今度は、カレーうどんからなかなか脱却できなかった。
 夫と結婚すると、玉ねぎをクタクタになるまで炒めた方が美味しいという話になったので、ペースト状になるまではせっかちなところが勝ってしまってできないものの、少なくともあめ色になるまで、結構ふにゃふにゃになるまで炒める。
 カレーを作ることに関しては、あとはルーを二種類入れるとか、最初から二段になっているルーを入れるとか、その程度しかこだわっていない。夫の、スリランカ人の知り合いにマンゴーチャツネをもらい入れたら、店で出せるのではと思うくらい美味しくなったので、その後、時々入れてみることもあるくらい。
 結婚して自分の味ができつつあった頃以降、人の家のカレーも何種類か食べたが、友人の作るカレーも、義母のシーフードカレーも、なかなかの美味しさだった。夫とニュージャージーに住んでいた時も、よくインド人がやっているカレーの店に行って、本場らしいカレーを食べていた。中でもほうれん草ペーストの緑色のカレーが大好きだった。
 しかし、そういった経験がありながら、私にはまだまだカレーが好きという自覚はなかった。もしかして私はカレー好きなのではと思ったきっかけは、妊娠出産が関係している。