出産に伴う入院中、助産師さんや看護師さんは、皆とても感じが良かった。丁寧なだけでなく、皆が明るくて、「一生懸命やっている」ということが、嫌みなく伝わってくる感じであった。
 何かやらなければいけないことがあると、看護師さん側から先に教えてくれるという体制が整えられていたし、それでもわからないことがあれば質問していた。
 例えばベッドの使い方、トイレの仕方。赤ちゃんが泣いた時。シャワーはどうするかなど。どういうシステムで回り、どのように使うか。オムツの変え方やおっぱいのことなども、その時その時で説明してくれた。
 「えっ何そのシステム」「皆そういう風にするものなのかな」「そういうやり方で決まっているのかな」と、周りを見ながらオロオロと戸惑ったり、何度も質問したりということがなかった。知らないことがあると「あっ、まだ教えてなかったですね」と気持ち良く教わることができた。
 個室は一部屋か二部屋の病院で、多くが6人部屋だったと思う。あとは3人部屋。何度かベッドを移動させられたが、不快でもなかった。「景色見えた方が良いですよね」とか言われながら、ちょこちょこと変わった気がする。全体に清潔で、掃除をして下さる方があまりに黙々と小さくなっていたので、なんだか声をかけずにはいられず、時々声をかけた。
 シャワー室も「何もそんなじゃなくても……」と思うくらい特別感があり、綺麗で、今思えば、何よりきちんと掃除してくれていたと思う。
 ちなみに、食事は期待していたほどではなかった。アレ??普通……。という感想。ただ種類は多かったので、調理の方々が頑張っているんだろうとは思ったし、「病院食」って、もっと美味しくないのかもしれないと思うと、感謝する気持ちが沸くのである。あと、退院前だったか「お祝い膳」というものが出て、それがなかなか豪華だった覚えがある。こんなに食べては太るのではと思うくらい、毎回たくさん出たが、母乳+ミルクの混合でも、相当エネルギーを消費するようで、妊娠する前より、体重はむしろ減っていっていた。
 退院する時は、一人の看護師さんが「ああ、退院しちゃうんだ〜」と、名残惜しそうにしてくれたのも印象的である。彼女とは、特に親しく話すこともなかったのだが、私も何となく気に入っていた。忙しそうな中、明るく優しくて、サッパリしていながらも、気にかけてもらっている感じがあった。何となくだけど、彼女も気に入ってくれていたのを感じた。看護師さんたちが全体的に楽しそうに働いているのが印象的な所だった。
 部屋の人たちは、携帯も普及していたので、カーテン越しに携帯を使っているのが見えて、テレビも観たり、お互いにあまり話すことはなかったけど、ゆったりマイペースに過ごしていて、比較的快適だったように記憶している。
 ただ一つだけ、帰宅後気づいたことで、致命的なミスをおかされるのだが、まあそれも私としては仕方がないと思っている。でも、できればそのミスは防いでほしかったので、しぶとく覚えているのだが。
 とにかく、入院中に不愉快な思いをすることはなかった。