とうとう行ってしまった。前々から行きたいと思っていた「一人カラオケ」ってやつだ。
 音楽のカテゴリーに入れようかと一瞬迷ったが、いやいや間違いなくこちらだろう。
 以前から「一人カラオケ」に行きたいとは思っていた。私はそれほど歌が上手でもない。でも歌うのは大好きだし、時々鼻歌で音程が狂っていると自覚できる。「アラ?」と思うがうまく直せない。いわゆる「音痴」ではなくてもまあその程度なので、カラオケでも音程が外れると少しは恥ずかしい。下手だなと思いつつ心おきなく好きなだけ歌いたいと思っていた。夫も出張先で次に使う交通機関に対しての時間が中途半端に余り、映画を観るほどの時間もないとなった時に、一人カラオケしたことがあると言っていた。カラオケルームは、楽器の練習を一人でする人がいたり、仕事をする人もいたりするらしい。最近ではずいぶんメジャーになったと言われている一人カラオケだが、それでも私はためらっていた。やったことがないからだ。でも歌いたい曲がどんどん積もってきてためこんでいられなくなったので、近々行きたいと思っていた。すると、友人の息子さんが「一人カラオケ行ってきた」と言う。二時間歌ってスッキリしたとか。えーなになに私も行ってみたかったんだよとますます気持ちはたかまる。
 そう、私が歌いたい曲はこのカテゴリーに載せているので理解してもらえるかもしれないが、英語の曲ばかりなのだ。車に乗っていてものすごく気に入った曲を何度も何度も何度も聴くような曲である。「気に入ったので何度も聴く」くらいではない。「何度も何度も何度も」である。耳が腐ってしまうのではと思うくらい何度も聴く。サビを口ずさむ。家に帰ると歌詞を見て譜割を確認しなければいけない曲もあるが、5度くらい練習したらだいたい良いかと完璧も目指さない。昔みたいにテープを巻き戻して何度も聞き返すことはできないので、まあいいやだいたいで。という感じ。
 最近では、AQUAの「Cartoon Heroes」やデビッド・ボウイの「STARMAN」、『はじまりのうた』に出てくる「Lost stars」を繰り返し聴いては車の中で何となく口ずさんでいた。昔の曲ならアバも簡単に歌えることはわかっている。シンディ・ローパーで昔大好きな歌があった。
 そんなわけで実際に歌ってみると、幼児期に聴いていたような昔の曲は、ビリージョエルやビートルズも、どの曲を把握していてどの曲を何となく聞き流していたかがよくわかった。他に中学の頃聴いていた曲の検索は困難で見つからないものもあったが、シンディ・ローパーの曲は何とか見つかった。ゆっくりした曲ならちょっとはズレたりしてもまあだいたい歌えて気持ちが良かった。
 さて、そうやって歌い始めて数曲の時、私の中で「帰国子女」の自分がはじけたのがわかった。