あまり緊張しない方だと思っている。何故ならきちんと心構えや準備をしないからで、それは褒められたものではないのだ。咄嗟の時にその場しのぎの対応をしているので、そりゃ緊張する間もないんですね。あと、テストなど、ここは緊張したらいけないという場面では感情を無にしてしまいます。なるべくあれこれを感じないようにしてボンヤリすることで、その後に集中します。
 そんな私を見て、「堂々としている」とか「どっしりしている」とか、まるで大物かのように‘一瞬’感じてくれる周りの皆さん、私が緊張しているところを見たら、だいぶあからさまで笑ってしまうと思います。ちなみに、夫は私が緊張している場面をよく目にしたことがあると思う。私が緊張すると、一般的な状態に陥ります。一つは、あたふたする。ちょっとした挙動不審で、急にキョロキョロしたりアハアハとにやついてみたり、足がウロウロしたり落ち着かない。そういう風に緊張が出たのを自覚したのは、小学生の頃、授業で野球をすることになり、バッターボックスに立った時である。何故かわからないけど、別にチャンスの場面とかでもなく、単にバッターボックスに立ったら急に足がガタガタ震えて、キャッチャーにばれるのではと思うくらい。本当に恥ずかしかった。教室では積極的に発表する方だったし、体育の授業で何らかの注目を浴びてもエヘヘと笑っているだけだったのに、なんだったんだろう。それが今までの約45年で、足が震えた唯一の経験です。もう一回足が震えたことはあったけど、緊張というより、足に力が入っていたのでちょっと定かではないのだ。
 さらに緊張した時になるもう一つのパターンは、頭が真っ白になるという状態です。これもありがちだと思うけど、あれはなった後、本当に自分がいやになるし怖くなるし、できることならこの状態は本当に避けたい。
 初めてそんな状態になったのは、もう一度アメリカに行きたいと思ってお金を貯めなくちゃと、働くべく遅ればせながらの就職活動じみたものをした時です。「じみて」いたのは、いわゆる就職活動とはちょっと違ったので。大学四年生の夏、一人でアメリカに行き、そこで暮らしていた日本人の親友と会ってきた私は、もう一度すぐにでもアメリカに行きたい、しかも一か月は。と思って、就職活動をやめてしまった。そして翌年行こうとパートでお金を貯めて行った。一か月いると今度は住みたくなったので、パートじゃお金が貯まらないと思った私は、社員になるためにあちこちと面接を受けてみたのだ。
 で、ある会社の書類選考で受かった私は30人〜50人位に絞られた教室で説明会を聞いた。そして質問があるかと聞かれた時、手を挙げて当てられた。割と聞きたいことは気になってしまって納得するまで聞く方なのだが、当てられた瞬間。「アラ?」……たったさっきまで聞こうと思っていたことが何も言葉になって出てこない。思い出しもしない。とにかく「真っ白」な状態なのだ。思い出すまでほんの5秒ほどだったけど、私は無言でハニワみたいな顔をしていたと思う。しかも後から思い返すと、頭を抱えたくなるような聞かない方が良い内容だった。私を選ばなくても結構ですと言われても同然の内容。ああ、思い出したくない過去の一つ。頭を抱えたくなる。わーーー!!!!!