中高時代のグループ内での出来事。
 これは、息子の中学校内での女子の話を聞き、偶然見つけた高校時代の文集を読み、女性の人間関係を考え始めて、たどり着いた内容のことを書いている。
 五人のグループで楽しく会ったり喋ったりしていたのが、子供ができてから、あまりに考え方の違いが浮き彫りになって、それまでただ自分を抑えて付き合ってきたことを自覚するようになった。中でも三人とは、全然違うのだと気づいた。どこか合う部分で付き合い続けていけば良いはずなのだが、それすらも少ないのに、私は無理して合わせていた。皆のことが大好きだから付き合い続けてきたのだ、と幼い私は信じていたし、そういう自分を否定したくなかった。
 でも子供ができたことによって、大げさかもしれないが、人生に対する姿勢、人との距離感、それはつまりお互いの気持ちの距離感、が違うことがわかった。おそらく家族に対する考え方、自分の中の何を大事にして子供と接し、育てるかは、その人自身の価値観がそのまま浮き彫りになるからなのだろう。私は良い顔して無理して付き合っているだけだと、気づいてしまったのだ。そうして三人との付き合いをやめ、残る一人とは確執や嫌な部分はなかったものの、同じグループ内にいるその子だけと付き合い続けるのは良くないことなのかなと、なんとなく思って連絡を絶とうとしていた。
 でも彼女は、無頓着に私との付き合いを続けようとしていた。
 そしてそれが彼女の良さだったのである。
 彼女は、周りになんと言われようと、頑固過ぎると指摘されるだけあって、自分の考えを通していた。皆と意見を交わす時、黙っていても同意していないのがわかった。彼女は逃げ足も速いし、物事を打算的に考えるズルいところがあると言われていたし、私もやはりその場の空気の流れで多少は同意していたが、何となく彼女のことは悪く言いきれないところがあった。彼女について積極的に悪口らしい悪口を言ったことはないと思う。それほど自分は彼女に嫌な思いをさせられていないのだ。何故なら彼女は、他の子たちの悪口を言わなかったし、自分の気持ちを大事にしていたし、人間関係においての競争意識がなかったからなのだ。彼女は、グループ内の一人と今でも仲が良いようだが、その子と私との関係とは切り離して、彼女と私との関係として別々に考えてくれているようであった。そういう風に考えられる子なのである。
 だから、私はふと彼女に色々話してみようという気になった。彼女もグループ内で色々あったために、残りの二人とはまったく連絡を取り合っていないし、話したがらないので、私もあえて聞くようなことはしていない。話したくなったら聞こうという程度である。