ナッツ類が好きである。
 でもナッツ類はカロリーが高い。吹き出物も出る。かもしれない。だからたくさん食べすぎてはいけないと思っている。例外的にココナッツはどうしても匂いが苦手なのだが、他の物、特に歯ごたえを感じるものであれば、ナッツ類が好きなのだ。
 例えば、アイスクリームではナッツが入っている物が断然好きだ。歯ごたえという意味ではチョコチップが入っているのも好きだが、それよりも大好きだ。パンにもナッツが入っていると手が伸びてしまう。噛んだ時に広がるこおばしさも好きだ。アーモンド、くるみ、ピーナッツ、カシューナッツ、そしてなんといってもピスタチオ。
 そう。私はピスタチオが大好きなのだ。
 ピスタチオの香りとちょっとしょっぱくしてある味との組み合わせが大好きなのである。だから、殻を延々割って食べ続けてしまう。とは言っても、そう安い物でもないのと、カロリーが相当なので、小さな一袋で済ます。そもそもあまり買わないようにしている。でも、滅多に買わないピスタチオの小さな一袋が手元にあると大変だ。独占したいのだ。夫や息子を差し置いて。
 独占してしまいそうになる気持ちを、カロリーを気にすることによって抑え、「三人で食べよ〜う」と、夫と息子を誘う。
 ところが、いざ三人で食べ始めているのに、大人げなく、いや、女性を忘れて、私はむさぼり食ってしまうのだ。ハッと我に返ると恥ずかしいのだが、相当積極的に手を伸ばしてしまう。抑えられない。
 ニュージャージーに住んでいた頃、ピスタチオのアイスクリームが売ってあった。 いえいえ、アイスクリームにナッツのかけらが入っているんじゃないですよ。ピスタチオ風味のアイスクリームなのだ。緑色である。これがまあため息が出るくらい美味しい!アイスクリームは意外と胃に負担になってきたし、20代後半には代謝が悪くなり始めていたので、それほど食べないようにしていたが、ピスタチオのアイスクリームは、私をトリコにした。
 ところが、帰国するとそんな物は一切ない。なんでないんだ!!あんなに美味しいのに!!……と思っていたが、まあ胃にも負担だし。カロリー高いし。なきゃないで良いのよ。とか涼しい顔をしていたものの、時々「ああ、どうしてピスタチオ味がないんだよう!」と、店頭やスーパーの冷蔵庫に並ぶアイスクリームを見て、本音が出てしまうのだ。
 そして、最近、やっと日本でもピスタチオ味のアイスクリームがあると、風の噂で聞きつけた。風の噂どころか、あまりにも微風で、こんな田舎までは到達していないのか、目にはしない。でも、いつかそれを口にできる日をとても楽しみにしている。その時こそ「三人で食べよ〜う」と言って分け合おう。