あらゆる物事を決め、段取りを済ませ、家は建っていった。
 引っ越しの日は、夏の暑い盛りで、引っ越し屋さんに申し訳ないような感じであった。でもお陰で安かった。失礼ながらほとんど手伝うことはなかったが、近場だし、当日は疲れないで済む引っ越しであった。
 引っ越しを終えてから、おおよそ今の状態にするのに、半年くらいかければ良かったのに、私は家の中が「ある程度」片付いていないことが嫌いで、必死になって片づけてしまった。これがとても家族にとって、良くなかったと、おおいに反省している。しかも、あれだけイライラしておいて、「ある程度」なのだ。徹底的に片づければ何となくつじつまが合うのだろうが、イライラしているくせに、あくまでも「ある程度」なのである。結構床に広げていても平気だし。置きっぱなしも平気。普段も決して片付いているというわけではありません。あくまでも私の基準なのだ。それが周りの人には厄介とうつることだろう。広げていても平気。なのに、段ボールが積み重なっているとイライラしてしまう。
 ちなみに普段は夫の方がうるさいくらいです。「踏んじゃうから片づけて」と、息子に口うるさく言う。息子もあまりにおおらかに広げっぱなしなので、こんな私と暮らしているとしつけられないから、夫のように注意してくれるとありがたいことはありがたい。ま、そんな夫も、私が少しくらい広げていても何も言わないでいてくれるけど。夫も昔は「脱ぎたい所が脱ぐ所」と言わんばかりに、自分の抜け殻を、ウチのあちこちに置いていたし。
 私にとって整理整頓とは、何がどこにあるかの大体の把握しておきたい。収納はたっぷりと。ということのようだ。そして今回は、この家が快適なのかどうか、早く結論を出したいと思ってしまった。段ボールが目について日常生活の邪魔になることが、どうしても許せない。「これ片づけないとなー」「いつか片づけなくちゃなー」「そういえばアレはどこだっけ、まだ段ボールかな」「この下の方って何があるんだっけ」。こういったことが頭をよぎることが、とてもうっとうしい。なので、必死になり、二週間で、今暮らしている状態とほぼ同じにした。つまり、段ボールもほとんどその間に片づけた。それで、ずっとその間、イライラしていて、のんびりしたい夫や息子に、不機嫌オーラをまき散らしてしまった。深―――く反省。
 今後、引っ越しをすることになったら、年も取っていくし、経済的に少し無理してでも、荷物の持ち運びだけでなく、それまで住んでいた方の荷造りだけでなく、荷物をほどく方も、おまかせにしてしまいたいと秘かに思っている。
 そして猛省したのに、物が積み重なってくると、またついイライラしてしまう。
 とにかく、当時のことを息子には何度か謝った。夫とは、散らかし「方」の問題で、時々ケンカになってしまう。ごめんなさい。なんでしょうね。こればっかりは、自分でもよくわからない。床に広げていても平気なのに、積み重なっていると許せない感じ。一人で何でもやってしまえと思ってしまうところとか。そのくせ、どこか手伝ってほしい自分の気持ちもある。面倒くさい私なのダ。