映画『はじまりのうた』の、サウンドトラックを聴きこんでいる。
 CDに関して、私は聴きこむ方だと、ダンナの音楽の聴き方を知って気づいた。特に車の中で、CDの聴き方に差が表れる。ダンナは、次々と聴いていく。よっぽど好きで何度も聴いても、私よりは断然早いスピードで次のCDに移る。昔のCDも引っ張り出してきて聴くが、すぐにまた変える。そしてまた同じCDを出してきて聴いてみたりする。その時の気分で聴き分けているのだろう。私もそういうこともあるが、あるCDが気に入ると、飽きるまで、自分がある程度一緒に口ずさめるまでしつこくしつこく聴いてしまう。よく同乗する息子は聞き飽きるのではないだろうかと思うくらい、いつまでも同じCDを聴き続けてしまう。もう飽きたなと思ったら次のCDに移る。その時に目新しいCDがないと、昔のを引っ張り出して聴くことになる。
 で、今『はじまりのうた』を聴きこんでいる。
 この映画の中で‘LOST STARS’‘TELL ME IF YOU WANNA GO HOME’‘A STEP YOU CAN’T TAKE BACK’の三曲がキーになる曲である。‘TELL ME IF YOU WANNA GO HOME’は、プロデューサーの娘が父親と通じ合う瞬間で、父親と母親も距離を縮めるきっかけとなる場面とも言えるとても明るい印象の曲だ。
 ‘A STEP YOU CAN’T TAKE BACK’は、一番好き。歌詞は暗くて重たいのだが、これにアレンジをつけた時の場面がとても良い。妄想で次々と楽器が鳴り、その調和が良い。英語のリズムもとても良いのだ。この曲を歌えるようになりたいなあと思い、何度も一緒に口ずさみながら運転している。ちょっと歌詞がよく聴き取れないところがあるので、確認しなくちゃと思いながらまだそのままだ。
 そして‘LOST STARS’という曲。これは、映画の中で、彼女がクリスマスプレゼントとして彼に贈る曲である。ちょっとオリエンタルな音階を感じさせる部分があり、それがこの曲の魅力を増していると私は感じている。彼女がクリスマスプレゼントとして歌った時の彼女の心のこもった歌い方や声がとっても素敵。それを売れるために、商業用にアレンジしたものもこれまた良いのだ。彼女の良さはなくなってしまい、映画の中でも彼女自身の台詞の中でそう言っている。確かにその通りなのだ。彼女の良さばかりか、彼女がこめた気持ちも台無しのようなアレンジ。でも、これもまた良いのだ。ノリノリで運転も楽しくなる。そして、彼がその曲を彼女のためにと一度観客の前でしっとりと歌う場面もある。これがまた良い。すごく心がこもった彼の歌いっぷりも良い。彼女のことを想って歌うと、こんなに良いものかと感じる。彼女が作った曲、彼女の彼への思いが詰まった曲を彼が歌う。彼がその彼女の思いを感じながら歌っているにしても、彼が単純に彼女のことを想って歌っているにしても、どちらもだと思いたいがそうなるとこの曲の味わいがグンと深くなる。同じ曲でも、アレンジ次第でこんなにカラーが変わるものかと驚く。編曲ってそういうことなんだろうけど。三曲とも、CDに入っているので、三通りの楽しみ方ができる。