麺のことについて話が続くが、外でも、よそよそしい関係でもない限り、私はちょっと下品な食べ方をする。具をなるべく先に食べて、麺を後半に集中的に食べる。口いっぱいに麺が広がるのがたまらない。ずっとすすっていたい。パスタならすすれないから、たくさんほおばりたい。でも、そうやって具を先に食べていると、麺はのびてしまう。のびているのが常に良いわけではない。そう、細かく書けば、最初の10分の1くらい、麺と具を一緒に食べる。コシを実感して楽しみ、美味しい!!と確かに思う。歯ごたえが良く、歯ごたえからくる香りとか実感するちょっとした味をほぼ無意識に感じ取って「美味しい」と思っているのだろう。
 そして、そこからはほぼ具。具が9割方なくなったら、やっと麺にとりかかる。ラーメンのようにつゆと一緒に入っている物は、最後の方でもう何も残ってないかなあとれんげですくった時、麺がついてくると、わーいと内心喜んでいる。具が入ってくるとちょっと残念なくらいである。
 実は、具を先に食べる理由はもう一つある。呆れられそうだが、スープに浸かっている麺が熱いのだ。猫舌ってこともないのだが、空気に触れて少しだけ冷めた具を先に食べて、ほんの少しだけ麺を一緒に食べる。そうやって少しだけ時間を置いて冷ましている。ほんの少し冷めると、アチアチッ!とか言いながら食べなくて済むので、やっぱり口いっぱいに麺をほおばれる。至福のひと時なのだ。ちょっと幼稚なのだ。まあそうは言っても、そんな冷めた料理は出てこないし、一人で作って食べる時もできたてがほとんどなので、結構熱いんです。鼻の奥が刺激されて、鼻をすすりながら食べています。若い頃、外で他人と食べる時に、どうして皆はそんなに鼻水垂らさずに食べられるんだろうと不思議だったし、自分だけがダラダラと鼻水垂らしているのがどうしても恥ずかしかった。女子校だったので、鼻をかむことは平気だったが、「熱いものを食べて鼻水出しちゃう自分」というのが、何となく他の人よりひどい気がして恥ずかしかった。でも、夫と出会った時、夫となる彼は、ラーメン店で猛烈に鼻をかんでいた。私より鼻を押さえたりかんだりしている!ということにすごく安心して、「熱いよねえ」とか言いながら鼻を押さえながら、鼻をかみながら食べることに気兼ねなくなった。この人の前で、食べる時に恰好つけることなく、熱い麺類が食べられる!と、大げさなようだけど、若い私にはとてもありがたかった。
 なんか話がそれちゃいました。麺のことですね。
 まあこんな私にはきっとソフト麺がお似合いなのだ。噂にしか聞いたことがないソフト麺。私はソフト麺を、おそらくだが食べたことがない。関西の給食に、ソフト麺は出てこないのだ。だから、夫も息子もソフト麺を知っていて説明してきた時、「わあ、私がそれを食べたら絶対好きだろうなあ」と思う。ちょっと羨ましい。そんな感じの麺も好きなのだ。本物志向の麺好きの人に知られたら「そんなの本物の麺好きじゃない」と怒られちゃうだろう。舌が二流なんでしょうね。
 アルデンテの良さもわかっていますってばっ!でもねぇ〜ついねえ〜。