先日のこと、以前から買うかどうか迷っていた薄手のセーターを買った。通販で似たような色のがあるかなとか、色々探したが、好みの色と形、素材、そして値段とのバランスで良いのがなくて、結局店で買うことにした。
 その時の店員の言葉が気になって仕方なかった。
 そのセーターを買うかどうかのポイントは、身丈の長さだった。それまで持っていた似たような色のセーターは、身丈が短くてもデザインが好きで我慢して着ていたのだが、洗うにつれて段々とその短さも目立ってきた。ベルトでごまかそうにも重力に逆らえなくなってきたお尻やたるんできた太ももに引っ張られて、ベルトが苦しい。正確に言えば、ベルトが苦しいのではなく、ベルトで締めることにより、股が痛いのだ。自分のお尻のデカさを本当に呪う。若い時はパツンパツンで本当にいやだったが、今は水でも入ってますか?ってくらい、いつぞやの母の二の腕のようにタプンタプンになっていてやっぱりすごくいやだ。そのタプンタプンが、ジーンズを引っ張り下げるのだ。だからセーターが短いと、ジーンズとの間があいてしまい、お腹が出てしまう。それでもう少し丈の長いセーターが良い。確認したくて、セーターを自分にあてて鏡を見ていた。
 すると店員が声をかけてきた。ネットと違い、店はこういうのが面倒くさい。しかし当日は、丈さえ納得すればもう買う決意をしていたので、適当に返事して「下さいなー」と言うつもりだった。ところが。
 「これは割とピッタリしているので、身体の線が出やすいんですよ。」「大きめのサイズを買う人も結構いますよ。」「試着できますよ。」などと、やたらに言ってくるので被害妄想かもしれないけど、気になってしまった。もしかして小さめのMサイズなのかな??と、もう一度広げて確認したが、別に小さめのMサイズでもなさそう。普段自分が目にするMサイズである。
 「……そうですか。丈はジーンズのウエストのこの辺までカバーしますかねぇ?」と指差しながら聞くと、まあ良さそうだったので、「じゃあ買います。」と言った。すると、「サイズはこれでよろしいですか?」「試着はされなくて良いですか?」といつまでもしつこい。
 「ハイ、これで良いです」と言って買ったものの、帰りになんだか不安になってきて、帰宅後すぐ着てみた。違和感はない。そして一目散に鏡に向かった。
 ……。
 普通だった。
 それから何かムラムラと怒りのようなものが湧いてきた。心配かけて、なんなのよう!
 私の下半身が太いから??上半身の服のサイズはMサイズだけど、下半身はLサイズ。上半身が9号でも下半身は11号。ズボンも、上半身の貧相な感じとは裏腹に大きいサイズを選ばなくてはいけない。もちろんウエストに合わせてはジーンズなどぴちぴちである。私の下半身だけ見て上半身のサイズを想像したら、もっと大きいのが適切だと思うのかもしれない。でも、私はそういうバランスの取れた体型ではないのだ。それともダウン着て、着ぶくれしていたからなのだろうか??