それから、モラル・ハラスメントをする夫と、それによって奥さんや子供がどういう心理状態になっていくのか知りたいという気持ちが起こり、さらに本を読んだ。
 同じことについて書かれてある本を何冊も読むのはとても役に立つので、人の心について扱っている本については、強く勧めたい。何故なら、一から十まですべてがまったく一緒の経験をし、すべてがまったく一緒の心理状態にはならないからだ。色々な例があって、著者によって解釈も少しずつ違う。幾つものケースを読んでいくうちに、共通することが浮かび上がってくる。そういった共通点を見出して、親子関係を考えるようにしてきた。
 はてさて、モラル・ハラスメントに関しては、どの本にも一応チェック項目がある。チェック項目はだいたい同じようなことである。少しずつ違う部分もある。傾向としては同じだが、文としても少し違う。最初に相談された友人のダンナさんだった人を憶測してみる。幾つか当てはまる。幾つかは当てはまらない。ただ先にも書いたように、憶測である。友人が話していないこともあるかもしれないし、目の前にしている友人にしたら、もっとチェック入れたいところや、いやそうではないんだよってところもあるだろう。細かいところまではどうしてもわからない。比較的最近相談されている友人夫婦のこともチェック入れてみる。やはり同じだ。第三者の私の受け取り方もあるし、わからない、というのが正直なところだ。本を書いている人は、カウンセラーだったり精神科医心療内科医だったりするのだが、それ以外で、当人たちの体験談も多い。そういうのを読んでいて、時には心の中で絶句し、時には胸が悪くなりながら読む。そしてダンナさんのタイプは似てはいるが、それぞれに違うこともわかった。当たり前なのだが。奥さんたちの性格ももちろん違う。身体的なDVを受けた人もいるし、そうではない人もいる。そういう意味で人によって「程度が違う」。程度は全然違うが、どれもモラル・ハラスメントという。
 ならば、モラル・ハラスメントかどうか、チェック項目を見ても「全部じゃないな」とか「ここまで多くない」とか「この人ほどひどくない」とかそういったことで判断してもあまり意味がないのではと思い始めた。チェック項目だけで判断できない。多いからそう、少ないから違う、という問題ではないと思うのだ。自分たち夫婦のチェックはしてみることはある。自分がいつの間にかその渦に巻き込まれていないかとか。しかし、ありがたいことに、チェック項目にほぼ当てはまらない。どう考えても、機嫌の悪さをまき散らす時は「お互い様」。私も嫌な気がすることがあれば、ダンナを嫌な気にさせている時もある。自覚している。自分の意見については、私の方が聞いてもらっている。あと、私たち夫婦には、こうあらねばとか強いルールとかがない。ヒジョーに気楽な関係である。でも一応私は(おそらく夫も)気を使ってはいる。自分の気持ちに負担にならない程度にである。お互いや子供のことを考え話し合う努力はしているし、好意があることを伝えるようにする。その頑張りも「心地よい程度」の頑張りで、無理はしていない。時々一生懸命になり過ぎて爆発してしまう(私が)のは無理している時である。普段はできないところも許しあっている。と思っている。だからいい加減である。自分でできることは自分でやる。お互いに仕方ないなあと思っているし愚痴は言うけど、でもまあなんだかんだで自分でやる。