友人にそのダンナさんの話を聞いて色々調べているうちに「モラル・ハラスメント」という言葉に出会った。
 以前から時々書いているが、心理学に興味があるため、人がこういう振る舞いをするのは何故だろうと考えることが好きだった。息子が自分の子供でいながら、何を考えているのかさっぱりわからないことも、人の心についてその構造を知りたい気持ちを駆り立てた。その言動のもとを知りたくなる。こうなのかなと憶測することもあるが、私は「本心を知りたい」「背景を知りたい」という気持ちが人より少し強いようだ。それはその人に深く入り込む面倒な作業であるはずなのだが、好奇心が抑えられない。「なんで」という言葉は、責めるように聞こえる人が多いそうなので、できるだけ「責めていないよ」「何故なのか知りたいだけなんだよ」という気持ちを表現しながら聞くようにはしている。そういう気持ちを満たすために、心のメカニズムを勉強し、脳の働きについても少しは知り、知るにつれ、カウンセラーになりたいと最初に思った気持ちに自信がなくなっていった。
 私は人と対面すると、すぐに好き嫌いの感情が出てきてしまう。それをコントロールしながらカウンセラーになるような度量がない。又、心理学の資格を取ろうと思ったらやらなければならない勉強を調べると、先人たちの考え方も学ばなければならないし、現代の様々なことも数字として覚えなければならず、そういったものを見て、圧倒されてしまった。幼い子供を持ったお母さんたちの気持ちを助けたい気持ちは強くあるので、とりあえずは通信講座を幾つか受けて、いつでも話を聞ける態勢を整えた。私の中でそうやって、幼い子供の心、その親の心、親子関係などは、対応などは一通りだが心得た。そういった関係上の人の心の構造は興味深く、一番好きな分野である。
 それとは別に、心理学は深いばかりでなく、広くて気が遠くなるようだ。様々な分野があり、病的なものは本当に難しい。脳の勉強も必要だし、もっと知りたければ医者も必要になってくる。私程度の好奇心だと、なかなか次の段階に進めない。深刻なものもあってあまりに未知のものだと一歩後ろに下がってしまうのだが、難しすぎて専門家でも上手に対応しなければいけない。
 そうやって近づけない分野も色々あるし、言葉も知っているがまあ必要に迫られていないしと何となく手付かずなこともある。今回出会った「モラル・ハラスメント」もその一つであった。「ハラスメント」という言葉が、最近多くの場面で使われており、「モラル」につくこともあるということは知っていた。主に夫婦間で使われることも。でも、自分だって夫に対して、機嫌悪くしたり、物に当たったり黙りこくったりすることがあるじゃないかと思って、あまり真剣に考えなかったし、知識もその程度で知ろうともしなかった。夫も機嫌が悪くなって私も気を遣うことがあったが、お互い様。そんなのにいちいち名前つけてたら、日常やってられないよ〜とか。
 でも、友達の夫婦のことを聞いて、どうも夫や私の「不機嫌になる」「ケンカする」とはちょっと違うと感じ、そういうダンナさんがいるんだと思って調べていってぶち当たった「モラル・ハラスメント」には、もっと深刻な事態がたくさん書かれてあった。