この人上手だったんだなあと最近しみじみ感じているのが、ナインティナインの矢部である。ナインティナインは、それぞれが嫌いではなかったものの、お笑いに関しては、それほど私は一緒になって爆笑できずにいた。
 一時期、岡村が精神的にヤラレてしまい、入院生活を送っていたという。そこから復帰した時、矢部はラジオで、岡村の前でGReeeeNの『キセキ』を歌ったらしい。それまでは、その曲は結婚式でかかるような、つまり男女の曲だと思っていたのだが、そのエピソードを聞いた時に、二人の関係に感動した。特に矢部は、感情をあまり表に出さないし、喋りもそつがなくて、感情とか気持ちの動きのわかりにくい人だと思っていた。でも、岡村の前で自分の気持ちとして歌ったと聞いて、その曲を改めて聴くと、なんて素敵。友情でも充分通じる歌。大好きな友人の前で歌うなんて、ずいぶん照れ臭かったことだろう。聴く方も。二人の関係が良いものであったし、それに気づいた二人なんだろう。コンビは、仲が悪くても成立するが、仲が良い方が見ていて安心する。
 あと、『アウト・デラックス』という、ちょっと引くほど強烈な個性を持った人たちが次々と呼ばれて出演する番組で、矢部はとても上手に進行している。マツコ・デラックスと共に、出演者の話もよく聞いてあげているのだが、矢部は切り返しとか進行とかが上手なのだ。決してそつないという感じではなくて、心も感じられるし、何より、それだけ強烈な出演者たちを馬鹿にはしない。笑ったりダメ出ししたりしながらもちゃんと尊重して接しているのがわかり、すごいなあと感心させられる。
 オードリーの二人と南海キャンディースの山里亮太についても少しずつ書いておきたい。オードリー若林君の司会進行の上手さは、感心してしまう。ちゃんと面白くしてくれたり、品が良くて時々暗闇も見えたりして、加減が絶妙である。気に障るような癖や嫌味がなくて、観ていてとても気持ちが良い。それに加えて最近面白いのは春日である。力不足からか普段はおとなしくしている春日だが、自分に話が振られると絶妙に面白くスベってくれる。彼には愛嬌があるし、誠実さが垣間見えるので、嫌な気分にならないのだ。無茶ぶりにも頑張って応えてくれるのが、ハートが強いのか、それほど痛々しくもなく。最近は少しは気の利いたことも言うし、安心して見ていられる。伸び伸びとお姉キャラを演じている姿もなかなかのものである。彼はきっと真面目なのだろう。うまくできないところも含めて人柄がこんな風に出てくるのも良いものだなと思う。
 山里亮太は、ずっとあざとさなどが気になっていて、幾ら面白いことを言っても計算かと思うとすべてが打算的に見えて笑いきれなかった。でも、最近はそのキャラを守っているだけで、実は気遣いの人だと感じる場面が増えた。自分をどう見せようとかこの発言でこう思われるとか全部わかっているのだろうが、それ以上に気遣いの人だと感じた。だから女性と話す時も、色々な感情が見え隠れしているにしても、とても聞き上手だと気づき、感心してしまった。実際に話したら、とても楽しませてくれる居心地の良い相手だと思う。
 最後にもう一人。中堅さんですが、チュートリアル徳井の発言内容とかネタ、演技もいちいち私のツボであることも付け加えておきたいです。なんであんなに可笑しいんだろう。