ピクサーの『ベイマックス』を観に行った。
 サンフラントウキョウという、あからさまにサンフランシスコと東京を合体させたような都市での出来事なのだが、映画の宣伝を見た時から、可愛いキャラクターとコミカルな感じに「これ観に行きたいね」と、家族で話していた。宣伝の感じは、ハートフルなコメディものといった印象で、ほのぼのするのだろうと思い込んでいたが、実際の映画を観て、びっくりなのである。
 大事なお兄さんが亡くなることは予告で知っていた。でも、主人公には元々両親がいなかったなんて知らなかった。兄弟が二人して、ロボット作りに関しての才能が天才的にあるなんてことも知らなかった。いつの時代なのか、皆がものすごい技術を持っていて、それを実現できる環境であることも驚きだ。それでいながら、大学の内部は割とリアルに描かれていて、人間関係も温かいものである。
 そして何より驚いたのは、映画のなかなかのクライマックスシーンで、「あれっ。私、こんなものを観に来たんだっけ?」という我に返った感じ。幼い頃に見ていたゴレンジャーを思い出した。世代がわかっちゃうけど。「ええ〜……ゴレンジャーやん」と心の中でツッコミながら観ていると、自分がいったいどういうジャンルの映画を観に来たんだか、ちょっぴり不安になった。戦隊モノと思うと何となく安っぽくなってしまうというか。偏見ですが。どうしても「幼い子が見る」といった感じがぬぐえない。でもその後で、涙がこぼれ落ちるシーンがあった。それほど我慢しなくても、以前ほど泣かなくなっている私だが、あるシーンでは、ぼろぼろぼろっと目から液体がとめどなく流れてしまうような感じで、ああこれが歳なのかとすら思うくらい、感情以上に、大粒の液体が止まらない。ハンカチでおさえてもおさえても。クライマックスからエンディングにかけて、近親者を亡くした方々に観てもらいたいと思った。
 息子がたった一年でこうも成長するものかと感心したのは、息子が動じていなかったことである。泣きたくなるシーンは幾つかあったが、そこでも息子は動揺しておらず、ハラハラするシーンでも手に汗握ることなく冷静に観ていたし、私がどうしても涙が止まらないシーンでも静かに観ていた。ちょっと前まであんなに食い気味に泣いて私の気持ちを冷静にさせていたのに、今回は私の方がハンカチが必要であった。
 終わってからの曲も、二曲とも良かった。
 侮れなかった『ベイマックス』。一時はポカーンとするほど、予想外の展開となったが、最後は納得できる終わり方。可愛いキャラクターと相まって、非常に良い気分で観終わった。思っていた以上に面白かった。わかりやすい善と悪。そしてよくある「悪にも何らかの悲しい理由があっての悪」。そうそう、色々なシーンで、色々な映画を思い出しました。意外にも、もう一回観たい映画です。