息子が小学校に入り、参観日に行く前の日から、私はいつも自律神経が緊張するのか、交感神経が優位になり過ぎて、よく眠れず、当日も動悸がして辛く、学生時代の友達に連絡をし、毎回励ましてもらいながら、学校に行った。母にも受け止めてもらった。
 何とか行っても、息子の姿を見ては、「私は息子に返って辛い思いをさせているのでは」或いは「これからの息子も辛い思いをすることになるのでは」といつも思い、又、息子の個性全開の図工の絵や作品を見て、下手な字を見て、落ち込んで帰ってきた。しかしその度に考えては、「これで良いのだ」と納得する結論を出してきた私は、少しずつ慣れてきて、克服できたかなと思ったのは息子が3、4年生の頃だったか。とにかく、友達の励ましなしでも行けるようになった。でも、しんどいのはあまり変わらず。ただ、スクールカウンセラーに「みんな、参観日はいやなものですよ、面倒くさいし」と言われた言葉を励みに自分に言い聞かせてずっときた。
 ところが、6年生になって再び問題があるのを知り、授業参観に行った時、クラスを見ていて腹が立ってきたのだが、それ以上に胃がムカムカしてきた。身体の方の、本当の意味で吐き気がしてきてしまった。胃が気持ち悪い。腹も立つ。猛烈に嫌な気持ちで帰った。でもそれは、クラスの雰囲気のせいだから、それで腹が立ってしまったんだと思っていた。
 それから、「保護者が普段のクラスの様子を見に行かなくてはいけないな」と思った。参観日でない時に、自分の目で確かめたい。自分の目で見て納得できればいい。そう思うと、もう実行に移したくなった。のに。
 自分の体に異変が起きた。食欲がわかない。食べたいという気持ちがなくなってきたのだ。でも食べなくてはいけないから食べるのだが、食べることが大好きな私が、美味しいとか思わない。そして、翌日行こうと思ったら胃が痛くなってきた。明日の何時頃行こう。5〜10分くらいで良いか。一度行ったくらいではわからないから、何度か行く必要がある。そういう風に考える度に、胃がキリキリと痛んだ。
 「……。身体が辛いからやっぱり行きたくない。」と、夫に話した。
 心理学的にも、自分の体が、気持ちを表していることくらいわかっている。しかし、こんなに嫌なのか私。自分の身体反応の方が、気持ちを超えていて、残念なことこの上ない。
 スクールカウンセラーと話す機会があったので、この話をしようと思った。本当は別の話を色々したかったのだが、そちらではなく、この気持ちを話すのがメインかなと思って話した。
 話していると、カウンセリングとかちょっとでも勉強したことがある人ならわかるだろう。一番自分のツボだというところで、人は強い反応を示す。涙が出るとか、顔色が変わるとか、挙動不審になるとか、震えるとか。当たり前ではあるけれど、そんなものだ。
 情けないくらいに、正直に反応が出た。ここで泣くか私。自分で「あ〜あ」と思った。
 スクールカウンセラーと話していて、私が強く反応したのは「段々と参観が苦痛じゃなくなって、克服できたと思ったのに、6年生になって結局また教室に入れなくなった」と言った場面であった。克服できていない自分を認めたくなかったのだ。