家を建てる最後の方の段階、外回りである。雨どいの色の時には、そんなものの色まで!と思い「まだあったか!」と笑い、どうでも良いよ!と気持ちをぶつけたくなるのをかろうじて夫が「お勧めの色は?」と返して、自分たちで選ぶ手間を省いた。
 そして、色を選ぶ最後の段階、とその時は思っていた、隣の敷地の間につけるフェンスの色。どれが傷みにくいか、値段が手ごろかを聞いて決めた。もうその頃には、サッサと値段とクオリティを聞いて、そこから判断することに慣れてきていた。
 そして、最後はポストと表札。ああ終わったと思ったのにまだあったか。でも、これさえ終われば!と思って、一生懸命考えた。まあよくわからないんですよね、これも。値段の許せる範囲で絞っていき、そこから候補を探す。最初は、警戒心から、なるべく玄関近くに来てもらいたくないので、家の前の階段上がる前にポストを置いてもらおうかと思っていたが、寒い日や雨の日など、かなり面倒ではないかということに気づき、結局、ドアのすぐそばに付けてもらうことにした。デザインは少し意見が割れたが、玄関横の外のランプは、私のお気に入りの物にさせてもらったため、ポストは、意見を譲ることにした。表札も、余分な英語は要らないから、名前だけにしてほしいと頼んで、まあそれなりの物を選んだ。書体を夫と相談しながら。
 もし、贅沢が許されるなら、玄関入ってすぐ横の場所に洗面台を置きたかった。手洗いうがいが面倒になる前に済ませてしまえ、という気持ちをこめて。でも、玄関から、洗面所を見えるようにしたことで、忘れなくなったし、割と直行できるような配置にできたのは良かったと思う。あと、本当は、2階にトイレを付けたら、寝ている時はラクで良かったのだが、まあ3人家族。息子が大学や就職で家にいなくなれば、二人きりの家に、トイレが2つも要らないだろう。『みんなのいえ』という映画で、主演のココリコ田中が、周りの意見に翻弄されていくうちに「ここにもトイレどうお?」と奥さん役の八木亜希子に提案するのだが、そこで彼女が「二人しか住んでいないのに、トイレが3つも4つもある家なんてイヤ!」とイライラして叫ぶシーンがある。そのシーンを繰り返し、夫と思い出しては笑っていたので、私も1つで良いと思った。しかし、実際に夜中、トイレに行きたくなると、ものすごく面倒になるのも事実。これで目が覚めちゃったらいやだなあという思いで、布団から起き上がるのが億劫なのだ。せめて2階にあれば、と思うが、でもこれも、結局は、2階にあっても同じなのだということを知っている。何故なら、宝塚の実家に暮らしていた頃、夜中、2階のトイレであっても、やっぱり行くのは面倒だったからだ。できるだけ布団から出たくないのは、どこにあっても同じ。よって、家族三人、やっぱり1階に1つでヨシ!
 あとはまあ、いつまでも心残りなのが、ダイニングとキッチンの位置ですね。何でこんな平凡にしちゃったかなあと思うのだ。友達は「その構想より、実際の今の方が、広く見えて良いよ!」と慰めてくれて、少し救われたのだが、やっぱり、思い通りのにしたかったなあ。何で本当に、ちょっとした拍子に、入れ替えちゃったんだろう、私。