夫はラジオを聴く。ラジオに言及する雑誌を読むこともある。私はそれほど聴かない。
 これからラジオについて、私の数少ないエピソードから書いていくことにする。
 私は高校生の夏休みや、大学生で翌朝早起きしないで良い日など、深夜に「ヤングタウン」(関西なもので……)を聴いていた。明石家さんま笑福亭鶴瓶ダウンタウンなどが、曜日代わりで司会をしていた。大体、聴いているうちに寝てしまい、きちんと最後まで聴いたことはなかったが、眠れないのではという不安な時などは、聴きながら自然に寝ていた自分を振り返り、ホッとしたものだった。
 あとは、ラジオをよく聴く友人がいて、彼女は、自分でラジオ番組を作り、それをカセットテープに録音して聴かせてくれた。音楽のリクエストにも応えてくれたり、友人としてだが私や他の友人の投書??も読んでくれて、ちょっぴり楽しかった。
 働き始めると、FM802(関西なもので……)をよく聴いた。流行の曲が流れるので、音楽番組も消えつつあった中、ランキングが聴けるのも楽しかった。職場でも流しっぱなしであった。先輩の女子の中に懐メロ好きな人がいたのだが、私は以前の日本の歌謡曲がとても苦手だったので、度々チャンネル争いをした。先輩に譲れば良いのに、私も仕事している以上、不快な思いやイライラしながら職場にいるのはいやで、かなり頑固に対抗してしまった。お互い様なのにねえ。まあ要するに仲が悪かったんですけどね……。又、ある曜日では、大学生の頃のクラスメイトがDJをしていたので、嬉しくて投稿もした。リクエストとしてでなく、違う場面で投稿したその曲を流してくれて感激した。
 結婚前後、アメリカに住み、夫とK-ROCKというチャンネルをよく聴いた。グリーンデイ、スマッシングパンプキンズ、レッドホットチリペッパーズ、などがお気に入りだった。すごく好きなチャンネルで、投稿は下品な内容も多かったが、DJたちはなんだかんだ言いつつ、ギリギリのところで節度をわきまえていた。ジャミロ・クワイもここで知った。
 私にとってラジオってそのくらい。ここまで書いているのを読み返しても、ラジオは音楽を聴くことが主に私にとって大事な役割だった。
 でも夫は、お喋りも聴く。いや、お喋り「メイン」で聴いている。
 ジョギング中も、音楽よりラジオのお喋りを楽しんでいるらしい。USBに録音して車の中で聴くことがあるので、私も時には聴くようになった。私にとっては、音楽を聴くことが生活の中でとても大事で、お喋りを聴き続けることは、時に根気が必要で疲れてしまう。元々、一方的な人の話を長時間聴くのが苦手で、大人になればなるほど、興味のない話を聴き続けることが、多分普通の人以上に苦痛に感じていると思う。ちょっと脳のどこかに障害があるかもっていうくらい、じっとしていることが苦痛なのだ(会話なら幾らでも平気です)。自分が本当に興味を持っていることしかじっと座っていられない。免許更新のための講習とか、子供の懇談会(中でも話に魅力のない先生)などは、猛烈に辛い。退屈、とかでなく、辛いのだ。だから無理して聴かなくて良いものはできるだけ避ける。
 運転中は、運転する者が一番快適であるべきだと思うので、夫が運転していて夫がラジオを聴きたいのなら、私はなるべくだが、余程疲れてもない限り、拒否しない。