数曲終わったら、やっぱり私は汗にまみれていた。背中が汗びっしょりで冷たい。風邪気味だった私は、悪化すると困惑したが、どうにも仕方がない。
 コンサート会場に来た時、私は中学時代から結婚する前まで、甲子園球場に何度も足を運んだことを思い出していた。野球に関しては、別カテゴリーで書いたが(まだ載せていないです)、私は結構な野球観戦好きなのである。
 ちょっと野球に話がそれるが、野球を球場で観る楽しさは、チームに声援を送る一体感や高揚感もあるのだが、テレビでは見ることのできない他の選手の動きにもある。選手の動きを見る楽しさ関しては、他のカテゴリーで詳しく書いているので、ここでは、重ねて詳しくは書かないことにしますね。私は特定の選手のファンであったが、そのチーム全体のファンであり、それ以前に野球の試合を観ることが好きであった。だから、球場に行った時、一人一人の選手の顔が見えなくても、大満足であった。
 ところが今回は違う。球場みたいに広い空間じゃないけど、5人いる。ユニコーンは、メンバーそれぞれが歌うし、コーラスの部分も多いし、1曲1曲の味が違う。楽しくフザけている曲の声は、CDだけでは誰だかわからないこともある。だから、実際に見て確認するのだ。……と思っても、目が追い付かない。奥田民生も常に見ていたい。
 DVDだと、映す範囲が限られるので、映される部分をひたすら観るばかりなのだが、実際に会場に行くと、どこを見たら良いのか、視線が非常に忙しい。息子が憧れているドラムの川西の様子も見ておきたい。彼のドラムは私も大好きなので、ドラムが際立つ曲は是非そちらも。テッシーのギター演奏、EBIちゃんも歌ってる。阿部もハモッてる。奥田民生も見ておかなければ。顔も見たいからモニターに映ればそちらも見る。見ていると、誰か彼か顔を上げる。あれっ4階の方まで見てる??慌ててホンモノを見る。あっこっちら辺を見てる!……わーわー!!!思わず両手を振る。
 目が合ったら恥ずかしいとか言ってたのは誰なんだよ。誰かが顔を上げると、びょんびょん跳ねて両手を必死で振った。私は息子を連れての母親という立場で、こんなにハシャいで良いのか。夫は至って紳士的である。私は体を揺らしてノリノリである。なんだ私。こんなだっけか。
 そうだ。……また甲子園球場が頭をよぎる。あそこでの私は、相当ハシャギ屋さんだった。大学生になったら、色気が出てきて恥ずかしくなるだろうからと、高校生のうちは積極的にハッピを着て鉢巻を締め、ヤジに対しても関西弁で言い返していた。勝ったら、長い試合でなければ結構遅くまで残って余韻を楽しんでいた。もうキャーキャー騒いでいた方である。落ち着いた雰囲気の内野席でも、そこそこに声を出して応援をしていた。私はその場の空気に翻弄されちゃうハシャギ屋さんだった、忘れていた。
 ただ、ミュージシャンのコンサートとなると、慣れきった感じで、この曲のこの部分はこうするっていう、決まった型を最初からやるのは、こっぱずかしいので、あっこういう風にノリたくなるよね、そうやると楽しいよねっていう部分では皆と同じように手を振ったり、大声を出したりした。