ユニコーンが、隣の市に来る!!そうわかると息子も首を縦に振ったので、ダンナがチケットを取ってくれた。でも最初、「どの辺の席にする?」と聞かれて、ちょっと迷った。
 本当は前で観たい。私は、奥田民生の歌っている表情や演奏している立ち姿が大好きなのだ。話している内容とか、プライベートとか考え方とか、そういうことじゃないんです。彼が歌っている姿が良い。カッコ良い。私たちと一緒に老けていく感じも良い。体格も丁度良い。服を着ているところしか知らないけど(当たり前だ)。姿勢も好み。歌っている時の表情が良い。伸び伸びとした表情が好きです。そして歌詞の世界観が良い。ギター弾いている姿が良い。だから、本当なら近くで、もう無礼なくらいジロジロ見たい!!
 でも。お笑いのライヴで大笑いしているならともかくも、「大好き」満開の表情で観ている自分の顔を見られるのは、相当恥ずかしい。言葉に関しては、「自分の気持ちは自分の言葉で伝える」「照れは超越しないとダメ」とか言っている私だが、実は照れ屋さんなのだ。人見知りだし。不必要なほど気後れ、遠慮してしまうし。
 色々考えた結果、後ろの方の席で良い、と夫に伝えた。恥ずかしいから。目が合ったら、緊張で動けなくなるかも。挙動不審になるかも。涙目になって赤面が激しいかも。やっぱり前の方なんてとんでもないです。それに、小6の息子。140センチ超えたと言っても、前の方にいて大人たちに立たれたら、よく見えないだろう。息子は、川西のドラムが見たいのである。じゃあ後ろの方で結構です。
 というわけで、後ろの席にした。
 そして、前売りチケットが当たった!当たった瞬間は、興奮気味だった。でも席は後ろだから!日にちもだいぶ先のことだから!もしかして家族の誰かが体調崩して行けなくなるかもしれないし!とか言い聞かせて、しばらく平静を保っていることにした。
 そうこうしているうちに、CDも発売された。コンサートでそのアルバムの曲を中心に歌ってくれる。今回は、車の中とウオーキングの時だけとかいう変な我慢はしないで良い。家でも積極的に聴いた。飽きちゃうくらい聴いたとしても、ライヴで聴いたらまた違った聴き方ができるだろう。
 同じ曲やアルバムを何度も聴きこむのが好きなのだが、そうやって何度も聴いていると、どのアルバムでもそうだが、「聴きたい欲」がものすごく高まるピークがやってくる。自分の頭の中で、メロディーや歌詞がグルグルしてきて、もっと聴きたい!と思う。ブームがやってくるわけだ。普段ならそこをちょっとこらえて、聴き飽きるのを先延ばしにする。そうすると、聴いている運転中やウオーキングがより一層楽しくなるからだ。でも、今回は遠慮なく聴こう。そう思うと、歯止めがきかない。ピークがやってきたのは、コンサートの1週間ほど前だったか。自分一人だと、車の中もずっとずっと聴き、家の中でも家事をしながら聴いてウキウキした。歌詞をおぼえようとかあえてはしなかったが、それだけ何度も聴いてくると、何となく覚えちゃうところも自然に出てくる。イントロだけ聴いて、ノリノリになったりする。
 そうやって、コンサートの日を迎えた。