またやってしまった。苦手なカタカナ。
 確か、夫とクロスワードの話をしている時だった。
 いまどき、女性には当たり前に聞かれる「マカロン」というお菓子。劇的においしいわけではないのだが、歯ごたえが絶妙に良くて、色々な香りが楽しめる、そして何と言っても色がパステル調で可愛い。なんだかんだと批判したがりな私が、マカロンだけは、流行りにすっかり乗せられて、マカロンを見ると、食べたくなる。わーかわいい〜おいしそ〜。っていう。そんな最近の物が、クロスワードに出てきた。そうかと思えば「ズロース」という、私には実はよくわからないが、何かで聞いたりしたことのある単語(一応ちゃんと調べました)も、同じクロスワードの中に入っていたりして、昔の言葉も今時の言葉も混じっていて、クロスワードを作る人は、色々な言葉を知っていないといけないねぇ、なんて話していた。あの問題を作ったのは、果たして男の人か女の人か、マカロンなんて、男の人は興味ないし、食べたことあったところで、問題に出てもピンと来ないかもねとか。
 すると、夫が「だって、僕、‘ぱんぷす’って言葉が出てこなかったもん。」と言う。
 ぱんぷす?
 ……いかん。
 私の頭の中には、pumps という字面が出てきてしまった。そんな言葉あるのかどうかも知らない。でも、pumpという、押すとか出す、っていうような意味の言葉はある。(ちゃんと調べたら‘pump’で、靴のパンプスという英語の意味があるそうです)彼や彼女が押すと、pump がpumpsに変化するのか。Pump up the jam pump it up……なんていう曲まで頭を巡った。そんな単語がクロスワードで要求されるのか?
 いや待て、そんなはずはない。Pumpkinと関係あるのか?カボチャ???pumps……どういう時にそんな単語をクロスワードに入れるのだろう。
 ……ぱんぷす。……ぱんぷす。
 ……。はっ!!!
 そこで、やっと、靴のパンプスにまで思考が至った。一瞬の時間だったのかもしれないが、私の頭の中では考えが相当グルグルと渦巻き、夫に向かって妙な表情をしたまま固まっていたと思う。夫が「靴のさあ……。」と、私のハテナ顔を見て察したのか、説明を付け加えた。
 「ああ、パンプスね、あはは、パンプス……そうか、出てこなかったのかあ。」
 とか、またちょっと平静を装って「いやあ、なんかさ、またpumpkinとか関係あるのかと思って、押すとかさあ、pumpとか言うじゃない?」とかゴニョゴニョ言ったけど、恥ずかしくなって、何事もなかったかのように、「パンプスね〜」と改めて言ってその場をやり過ごした。そして、夫の「パンプスってどういう靴の種類を言う?」という質問に対して、「こういう靴のことを言うんじゃない?」と、またいい加減な説明をして、早くその会話を終わらせた。
 やっぱり恥ずかしいぞ、このわからなさ加減。カタカナ英語、どうにかしてほしい。でもきっと、自分でも気づいていない言葉がまだあるのだろう。