そうこうしているうちに、ゆるキャラが全盛期を迎えている。食傷気味なくらいだ。
 せんとくんとか、大人気でしたよね。くまモンはそこらじゅうにあるし、もうどこもかしこもゆるキャラだらけ。そうお?あれって可愛いの?……なんだかよくわからないまま月日は過ぎていった。
 ゆるキャラブームに乗らなくても特に不自由しない。相変わらずスヌーピーは可愛い。スヌーピーや、ウサギの形状の物を見つけると(ウサギはリアルであればあるほど可愛い)、そこに吸い寄せられるように手に取り、買わずともまじまじ見つめる。ディズニー物も、懐かしさやら、どんどん出てくる映画のキャラやらで、可愛いと思う物も増えてきた。私はそんなで満足です。
 ……と思っていたら、衝撃のゆるキャラが出てきた。
 ベタなんですけどね。今は終わってしまった「笑っていいとも」を観ていた時のことでした。私はさまぁ〜ずのファンなので、その曜日をよく観ていたのだが、ある日、ふなっしーが出てきた。姿形は正直可愛くない、と最初は思った。
 なにこれ。
 と思う間もなく、ふなっしーは喋っていた。声を発するゆるキャラ。いや、もはや「ゆる」をつけて良いのかどうかわからないくらい、動きも激しい。なんなのこのキャラ、衝撃!動きとテンションに圧倒されたまま、その放送を観終わった。すごいなあ。
 ふなっしーは、船橋市で非公認ということであった。非公認な彼は、ある日、地方の舞台に立ったら、「アテンド」という、ゆるキャラのそばでお喋りのサポートをしてくれる人がいなくて「いないなっしー(アテンドが……)」と発言。自分で自分を紹介し、それから自分で話すようになったとか。代わりの人(いや、梨か)もいないので、どこに行くにもその人自身、いや梨自身が忙しく出演する。テレビで「臭い」と言われても、そう発言した相手をツイッターで擁護した。
 何だか色々と切ないエピソードが多い。……にも関わらず、ふなっしーは明るく元気である。ヤケクソにも見えたそのテンションも、笑えるようになっていった。彼はなかなか反射神経が良いので、生放送でも「梨」として、ちゃんと気の利いた返答ができた。さまぁ〜ず三村が放送中でもよく抱きついたり会話上でイジってあげていたので、きっと構いたくなるような人……いや、梨なんだなと思った。
 好感度がたかまってきた頃、夫にある動画を見せられた。
 ふなっしーがドッキリに引っかかった内容であった。いきなりの爆発に、ふなっしーは全力で走って逃げていた。手足の短いふなっしーが全力で走るその姿がカッコ良かった。キュンときてしまった最初の瞬間である。この人、いや梨、全速力で走るとカッコいい。体幹がしっかりした力強いフォームであった。そしてその間も、例の「あ〜〜!!!」という声を出して逃げていた。こんなにカッコよく逃げているのに、梨心を忘れていない。
 そう、ふなっしーの良い所は、人と梨の間のギリギリのラインを、本人も周りも楽しんでいるところである。