また出た!
 「ターナー」が‘turner’のことだった。
いつものごとく、最初から気付いたわけではなく、「あっ、‘turn’か!」と言ってからのことです。だって、「ターナー」ですよ。「棚」を、フザけて「たーなー」って言ったみたいじゃないか!「じゃないか!」って皆に意見を押し付けたいくらいだ。「ターナー」なんて、「棚」だよ!って。うんうん。それに‘turn’に「ア」の母音は、まったく入っていない。U-turnを、「ユーターン」なんて言うから、ややこしくなるのだ!それこそ、日本人が得意な、「‘r’の音を入れっぱなし」ってヤツで良いのに。
 まあ。それは良いとしよう。
 全然関係ないのだが、私は歌を歌う時に、「ラ行」が言えないことが、最近発覚した。
 なにそれ、カッコつけてるの?と言われてしまいそうだけど、そんな周囲の声は聞き流して良い。と、最近『モヤモヤさまぁ〜ず』のアシスタント、狩野ちゃんを見て思った。英語の発音を、どうして恥ずかしがらなくてはいけないのだ。狩野ちゃんみたいに、堂々と発音すれば良い。彼女が歌を歌う時に、英語の部分の発音をカタカナ英語じゃなく、きちんと発音することに、とても共感をおぼえた。一度英語の発音が定着すると、カタカナ英語は難しく、そして恥ずかしいものなのです。でも、恥ずかしいのに、カッコつけてるとか言われるので、一生懸命恥ずかしさを打破してカタカナ英語を身につける。
 のに。私は歌を歌う時、「ラ行」が苦手だということに気付いた。英語での発音が‘R’の時は、その歌手が例えカタカナ英語で歌っていても、狩野ちゃんみたいに私も英語の発音で歌ってしまう。‘R’の音は、英語の発音なので、まだ「カッコつけちゃって」くらいで済まされることだろう。それより、英語に関係なく、日本語の「ラ行」が入っている時に、‘L’の音で歌ってしまうことに気付いた。普通に喋っている時は、多分「ラ行」で話せているはずなのに!歌になった途端、「ラ行」は‘L’でしか発音できない。なぜかはわからない。なんだこの癖は、と思って、日本語の「ラ行」で歌おうとすると、キング・オブ・コメディの高橋みたいになってしまった。「だ行」に聞こえるのである。滑舌悪い芸人として出た彼は、「ラ行」が「だ行」に聞こえると、自ら笑われていた。でも、私が「ラ行」を意識して歌おうとすると、高橋と同じ現象が起きてしまう。「だから」は、「だかだ」。「広い」は「ひどい」。「来週」は「だいしゅう」。「列」は「でつ」。「理科」は「でぃか」。って、そんな歌詞ないか。
 どうしたものかと思い、気にし始めると、ラ行を意識し過ぎてそっと歌ってしまい、ちょっと小さな声の、中途半端な「だ」になっている。結局「だ」じゃないか。‘L’の音で歌った方が、「だから」と聴こえる。どうすれば良い!……気取っているように聞こえる方を取るか、すべての「ラ行」を「だ行」になっても構わないと思って歌うか。
 いや、人はそんなに聴いていないから、歌いやすい方で良いのだ。
 下らない葛藤を経て、結局、引き続き‘L’音で歌うことを決めた。いちいち「ラ行」を気にしたところで「だ行」の音にしかならないし、そっちの方が私は気になるからだ。