友達の家を見て、現実的なものにしたいなと思い、友達の意見を聞いたり、様々な雑誌を読んだりしては、どういう間取りにしようかと、夢と現実とを擦り合わせていった。夫も希望があったのだが、お互いのすべての希望を取り入れようとすると、結構な豪邸になるので、妥協点を探って、「これは本当にいる?」「こういう部屋ほしい?」「これって必要あると思う?」「こんな部屋はどうお?」などと聞いて、少しずつ何通りが作った。
 私の本当の理想は、「家事の動線」とやらを気にかけたものであった。台所から洗面所、そこの洗濯機、お風呂、と動きやすい間取りで、水回りの場所はなるべく近い所へ、そうすることで、コストもかからなくなる。でも、トイレは部屋から聞こえるといやなので、ほんの少し離れた場所へ。玄関横には、コートなどかける大きな収納がほしい。3人家族なので、一部屋、客間が作れる。冬は雪が降り、春は桜が咲く前に夫と息子が花粉アレルギー。桜が咲いた頃、そして梅雨が終わってしばらくしたら、夏から秋にかけては私が花粉アレルギー。そんな我が家なので、洗濯物は中でも乾かせるよう、廊下の南側に物干しを作りたい。そして一番は、台所からテレビが見えることである。台所の音がうるさくて、リビングで見ている側からは気になるだろうが、私は、台所で孤独に作業するのがいやというただそれだけで、台所に立ちたくない時があるくらい、台所の特別感がいやなのだ。
 あとは、階段の場所。階段は、リビングの中が良いと思っていたのだが、それだと、子供の友達など、客が来た時、日常生活が気になるのではと思った。夫も「リビングにあったら、落ち着かないよ。子供だって、親にジロジロ見られずに、サッと自分の部屋に入りたい時もあるよ。一挙手一投足、見られている感じがしていやなんじゃないだろうか。」と言った。それで、リビングには入らないで済むように階段をつけた。
 夫は和室を作りたかったと思われるが、畳は傷んで大変なのと、やはりコスト面から「どうしても」必要ではないとのことで、和室であろうとなかろうと、「書斎があること」の方を優先させた。3畳くらいのお宅もあるので、それで良いかなと思いきや、6畳はほしいと言う。間取りの多くが私の希望を通してもらったので、その空間は取ることにした。
 また、動線を考えた上で、キッチンの横にくっつけるように、ダイニングテーブルをキッチンカウンターと一直線に並ばせかった。でもこれが、何の拍子か、キッチンとテーブルを逆にレイアウトしてしまい、それを見た建築屋さんが「このキッチンの向きは、90度変えた方が良くないですか?」と言ったため、「それもそうだよな」と思い、不本意にも、対面式のキッチンとダイニングができた。でも何となく納得してしまって、既に出来上がった頃に「あっ、私、どうしてキッチンとダイニングテーブルを逆にしちゃったんだろう!」と思い出した。何故かはわからないが、なにかの拍子に、パソコンでレイアウトを作りながら、ふと逆にしちゃったことから、このようなことになってしまったのだ。  
 キッチンの場所は、まあ仕方ない。洗面所の近くで、家事の動線!とか気にしていたのに。なにやってんだ私。と少々落ち込んだが、もう建て始めてしまったものは変えられない。忙しくて相当パニックだったので、大きなことなのだが、「ミス」としか言いようがない。