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そこへ、東日本を広く襲う、大地震が起きた。
アパートは早く出ていきたい環境にあったが、そこで、アパートの秩序が、夫も私も、苛立たせた。それまでの不平不満が、二人から同時に噴出することになった。
もう出ていきたい、まっぴらだ!!と思って、本気で探そうということになった。
気の優しい建築屋さんには「建てている途中に、転勤が決まってしまうかもしれません。建ててからすぐに、転勤になってしまうかもしれません、それでも良いですか。」と聞いたら、「売れそうな土地を探しましょう」と言ってくれた。こちらもさらに「子供が、今の学校からの転校をあまり望んでいないので、できれば同じ校区で」と、範囲を絞っていった。
そのうち、いくつか絞られてきた。
夫の職場関係の人があまりに近いと、何のためにアパートを出たのかと嫌だったので、あまり気にならない人であれば、まあまあ近くでも良いということで、大体の場所がさらに絞られた。
そして、いくつかの土地が候補にあがる。その中で、高めの土地があったのだが、「近い場所で、もう少し安い土地を売ってくれそうだから、交渉する」と、建築屋さんが言ってきた。
本当かなあ?と焦ってしまい、「もうちょっと待ってください」と言われたのに、待ちきれなくて、何度か「まだですか?」と電話してしまった。当時はまだ、その建築屋さんを信用しきれていなかった。「あとちょっとで何とか売ってもらえそうだから。あと一か月。」と言われ、本当かなあ?とまだ疑い深く私は何度か電話した。そうしていくうちに、「あと数週間待って下さい。」「あと一週間待って下さい。」と、日がせまった感じになっていき、とうとう「土地の地図持って行きます!」と彼は、やってきた。この時、友人が言っていた「ああ見えて、信頼できる人だから」という言葉を、信じることができるようになっていった。
いくつかの候補から、夫と話し合って、今の土地に決定した。
正直、広さと値段のバランスは「良いの?」と思うくらい、安かった。
まあ、大ざっぱに書けば、その辺の土地をたくさん持っている人だったので、その中の一つくらいならと、安く売ってくれたらしい。それに、この辺は田舎なので、都会の土地の値段を基準に考えると、申し訳ないくらい安いのだ。とは言え、都会よりずっと不便なので、妥当な値段なのかもしれないけど。
そして、決めてからが、怒涛の忙しさ!
色々な手続き。
そう、色々な「手続き」。