お風呂のことは、以前も書いたことがある。
 私の場合は、兄が中学生に上がるまで、母と三人でよく入っていたので、その頃がやめ時なんだろうと思っていた。自然にそうなることを望んではいたものの、お喋り大好き、甘えん坊の息子のことだから、小学生いっぱい終えて、中学入る頃に、「そろそろ一人で入ったら?」と、こちらが言うまでは、一緒のお風呂を楽しむんだろうと思っていた。
 お風呂に入ると、色々とちょっとした遊びに付き合わされて、何かになりきって喋ったりして、正直、面倒くさいことが多かった。ナハハ。しかし、普段はお父さんと入っていて、私と入るのは、夫が出張の時や、仕事でどうしてもお風呂の時間までに帰ってこれない時。滅多にないので、面倒くさいなーと思いつつ、つきあってはいた。
 ある日も、また右手や左手を誰かに見立てて、ごっこ遊びをしてきたり、その話につきあってみたり、私はヒジョーに面倒くさそ〜に対応してしまったんじゃないかと思う。まあいつも通りと言えばそうなんだけど、早く終わらないかなあと思っていた。もしかしたら顔に表れていたかもしれない。とは言え、いつもそんなこと気にせず続ける息子である。
 そして、ある日突然、「お父さん、今日はいないのかあ、じゃあ僕一人で入るよ。」と言い出したのだ。
 「えっ?ああそう。」
 そういう日もあるだろうと思っていたが、その日を境に、私とは入らなくなった。夫がいない日は、徹底して一人で入るようになった。同時に、私が洗面所でお風呂に入る準備をしていると、必ずノックして「入って良い?」と聞くようにもなった。私が裸でいても、平気で「良いよ〜」とか言っていると、息子は見ないように歯を磨いたりして、気を使っているのがわかるので、なるべく、息子の前でおおっぴらにハダカにならないようにした。
 寂しかったが、お父さんがいない日は、私も急いで入って、一緒に寝るので、布団の中で少し喋ったりしながら寝るので、ちょっとバタバタした。
 「寂しい」という感情は、ちょっと前から少しずつは持っていた。幼い頃から、息子は自分の好きなことになると、集中してそのことを覚えるので、私には興味ないことばかり言われると、私は取り残された気分になった。夫と盛り上がったり、少なくとも夫は何の話をしているのか、ついていけているが、私はついていこうという気さえ起らない、興味のない内容ばかりであった。それが専門的になっていけばなっていくほど、孤立感で、最初の頃は、自分だけがバカにされているのではとか思ったり、寂しかったりしたのだが、私には私の役割が、息子にはどうやら求められているらしいと気付いて、寂しさは克服していった。それに、お腹の中にいる時から、子供は、お父さんのことを好きな子にしたいと思っていたので、子供がお父さんと仲が良いのは、嬉しいことでもあった。
 だけど、「ああ、あのお風呂が最後だったのか。もっとしっかり話を聞いてあげれば良かった。もっとしっかり相槌を打って、一緒になって楽しく遊べば良かった。」と後悔した。息子とのお風呂は、もう二度とないかも。ちょっぴり寂しいが、これは割とすぐに慣れていった。