息子が5年生後半になって、グングン精神的に成長しているのがわかる。
 もう寂しいくらいだ。
 「早いねー」と、同い年の子がいる親同士で話し、「早いよー」と、小さな子がいる子の親に話し、自分の子供より年上の子供を持つ人に自分もそう言われてきていて、段々気持ちがわかってきたのだが、そんなものだけではない寂しさが襲う。
 息子が赤ん坊の頃、「いつになったら、この息が詰まるようなベッタリから離れてくれるのか」と思っていたことを思い出す。夫が息子をお風呂に入れ、寝かしつけた後、お風呂に一人で入っていても、泣き声が聞こえている気がして、何度も「ん??」と、ドアを開けてみたり、たかだか顔を洗いに行くだけで、後追いしてやってくるんじゃないか、気が休まらなかったりして、よく動悸がしていた。
 気が済むまで一緒に遊んでやっているようでも、声かけながら立ち上がっているのに、すぐ泣いて追いかけてきた。もうすぐご飯を作るね、そろそろご飯作るね、これからご飯作るね、と何度も声をかけて、遊びが一段落している頃に立ち上がっても、泣いて追いかけてきた。ごはん作っていると、ずっと話しかけてきて、集中できないし、きちんと相槌を打たないと、いつまでも同じことを言い続けてきた。少しはテレビを観てほしくて、テレビをつけていても、集中してずっと、は、観てくれなかった。
 幼稚園になっても小学生になっても、「一緒に遊ぼう」という時間が必ずあって、それも、なかなか時間の限りがなくて、延々と続く。小学校中学年くらいになると、やっと家事するね、というのを、受け入れてくれるようになった。「今時間ある?」とか聞いてくれるようになった。ごっこ遊びを完結できるようになった。多分、一般的な子より、3年程遅いと思われる。
 それでも、いつか必ずこういう時間に終わりが来る、と信じていたし、近いなと思っていたのが、4年生の頃である。
 息子が、成長したなあと思い始めたのが、3年生の後半頃から。
 自分の気持ちを言葉で、より表現できるようになり、宿題を、「いやだいやだ」と言いつつ、あきらめて自分から取り組む時間が増えていった。
 4年生の途中で引っ越しがあって、私もイライラしていたせいで、息子もストレスがたまってしまい、かなり気持ちを色々とためこんでいたようだが、その時期を超えると、また成長したような気がする。
 5年生になってしばらくすると、やっぱり宿題は、いやだいやだと言うが、結局、自分で始めて、自分で終えるし、お父さんと一緒にいる方が、私と一緒にいるより、楽しそうになってきた。甘えてくる以外は、お父さんと喋り、お父さんと一緒の布団で、ぎゅむぎゅむになっても二人で寝て、お風呂も私と入ってくれなくなった。
 そう、その時は突然やってくるのである。