結局、問題を起こしている子たちの父親は、いざという時も出てこなかった。
 そういった家庭の子供たちは、それを見透かしている。だから、ストレスとなって、友達同士で、変な癒着が始まってしまう。
 娘が父親に対して持つ感情と、息子が父親に対して持つ感情には、大きな違いがある。
 娘と父親は、異性であり、包容力のある存在である。その父親が自分の方を向いていないとなっても、娘は母親との癒着関係が進むだけである。当面はストレスを生むことはない。ただ、娘にとっては、父親が、自分だけでなく、母親の方を向いているかどうかが、後々重要になってくる。長く引きずったり、自分の子供ができてからぶり返したりする。又、父親との関係が寂しいものによって、その後の恋愛や結婚に影響するような印象もある。自分の方を向いていないことに辛さを感じているのに、その状況に慣れてしまっているといったような。或いは向いてほしいがために、自分の気持ちを大切にできない。結局、娘の方を、心をこめて向いていないのであれば、やはり家庭にいない方が良いと思う。十把一からげにして言っているのではなく、離れた方が良いケースがある、ということ。
 娘と息子にとっての母親は、「大好き」が基盤であり、なかなか憎みきれるものではない。そこの葛藤で苦しむことがあれば、子供として随分キツイものがある。それでも、人それぞれの乗り越え方があり、自分が納得する方法で超えていくものだと思う。
 母親にとって、息子は格別に可愛いものであるらしいが(娘を持ったことがないので、比較のしようがないのだが)、母親は、息子を一人で生きていけるように育てることが心がけとなる。それは、男の子であるやりにくさを受け入れることから始まる。娘のように理解しやすいわけでなく、例えやりにくい娘だとしても、息子のように異星人と接するような気持ちで見るという場面があるということは、息子を持つ母親なら、ほとんどの人が経験あるはず。そして、自分が頑張ってきた人生を、台無しにされるような衝撃をも味わう(笑)。でも、それこそが母親としての成長のチャンス。自分のやり方、生き方がベストなわけではないんだな、という。子供自身を認めるというものの見方ができるチャンスである。
 さて、息子にとっての父親は、おそらく表面的にはドライな関係ではあるように見える。
 それ故に、自分の方に関心を持ってくれているかどうかは、息子にとっての、大きな関心事なのではないだろうか。ドライであるからこそ、実は心配してくれているのか、気にかけてくれているのか、一緒に過ごす時間を大事に思ってくれているのか、息子にとっては大問題になると思われる。
 そんなわけで、つくづく思うのは、子供に関心を持ってほしいのと、その子供が伝わっている実感を持っているかどうかを確認してほしいものである。どんな確認の仕方でも良いから、お父さんが子供を向いているよということを子供に気付いてもらってほしい。子供が気付いていないようであれば、それは相性の問題で伝わっていないということなので、どうすればこの子に伝わるかを工夫してほしい。大人なんだから、それくらい自分で考えてくれ。そして、どうなるかは知ったことじゃないっていうんじゃなく、自分も責任を大きく担っていることを認識していてほしい。いざとなったら動いてほしい。