今は頑張れば、生玉ねぎも食べられるようになったし、息を止めれば、柿も食べられる。
 食べ物のほとんどが、段々と克服して食べられるようになっていったのに、段々ダメになった物もある。
 一つはサバ。
 全然苦手じゃなかったのに、ある時を境に、どうしても吐き気がするようになってしまった。食べ終わって間もなくすると、段々気持ちが悪くなって、吐きそうになる。特に煮た物がダメになった。何故なのかはわからないが、もしかしたら、アレルギーになってしまったのかもしれない。もう一つ、アレルギーになったのだろうかと疑われる物が、キムチである。いや、ただ胃が年取っただけなのかな。キムチは、サバなんかと比べものにならないくらい、大好きであった。匂いも味も。バクバク食べていた方である。
 でも、ある時、食べ終わった後、吐いた。ちょっといたんでいたのかな。と思ったが、別の機会で食べた後も、すごく胸が悪くなって、胃炎を起こしたようだった。三度目挑戦した時に、確信に変わった。「胃が受け付けなくなってしまったんだ」。このショックたるや。こんなに大好きなのに、食べられない。
 胃が弱くなってしまったため、20代まで食べられた物が、食べられなくなっていった、ということが結構ある。好きであった刺激物に対して、全体的に弱くなったのは、本当に残念。本格的な韓国料理屋に行って、韓国人に「辛いですよ」と言われた時も、「大丈夫です」と言って食べていたのに、もうダメなんだ……好きなのに食べられないなんて、ショック。カレーも、本格的なインドカレーは、胃の調子が良い時にしか食べられないし、以前は「そんなのお子様の頼むものよね」と思っていた「甘口」で頼んでいる。コーヒーも大好きになったのに、胃の調子が良い時や、体が冷えても構わない時にしか飲めない。
 焼き肉に関しても、驚きました。
 結婚当初は、夫と食べに行き、結構な量を食べても「どうしよう……まだ食べたい。でも太っちゃうし。」なんていう葛藤があったくらい、まだまだ食べられる!!困ったぞ!てな気持ちだったのに、この前、初めて子供を連れて行ったら、少し食べただけで満腹になってしまった。不本意なくらい少量である。
 それは、某ファストフードでも同じである。大学生の頃は、友達とゆっくり喋りながら、2つくらい平気でハンバーガーを、ほうばっていた。そして2つ目を食べ終わった後「どうする?まだいけると思わへん?」と、友達と顔を見合わせ、「でも、店員に‘まだ食べるんか’って思われるやんねえ?幾らなんでも、女子が三つって食べ過ぎやんねえ?」とか、乙女心と葛藤していたのに、今はハンバーガーを一つ食べて、さらにポテトも出された分を全部食べたら、胃もたれがする。
 学生時代は、ポテトチップスもかりんとうも、1袋全部、相当なカロリーを食べても晩御飯も全部食べていたというのに、今は、カロリーの葛藤もなく、食べることができない。いや、正確に言えば、食べることはできるけど、その後の胸やけ、胃もたれを思うと、食べたくなくなる。なので、食べられないことになる。