「食」に関して書くつもりは、以前はまったくなかった。が。面白い体験をしたことがきっかけで、それを含め、書いてみることにしました。
 元々、食に関しての執着はなかったかもしれない。
 物心ついた時は既に食いしん坊だったけど、好き嫌いは結構多かった。
 自分が赤ん坊の時に、母がつけていた記録を読むと、離乳食の時期になっても、そろそろ固い物を食べて良い頃になっても、「ミルクばっかり飲んでいる。」と記してある。二人目だったので、そう案じてもいないようだが、結構食べれるはずの時期になっても、せんべいとかそんなもので私は満足していたようだ。
 それに引き替え、我が息子の食欲はすごい。
 ミルクも相当量飲んでいるのに、もっと欲しがり、時間の感覚も空かず、心配したが、離乳食はバリバリ食べて、新しい味もどんどん挑戦するタイプ。
 とはいえ、最初の離乳食の時期には、相当嫌がった。
 一口食べさせると「わーん!!!」と繰り返した。毎食。毎日。「もーなんで!!!」とこちらも泣けてしまうほどだった。この子は、いつになったら食べるの?ミルクじゃ間に合わないでしょうと思い、焦った。ところが、丸々二か月、一口食べさせると「わーん!!(号泣)」私「もー!!(涙)」を延々続けていたら、ある日突然、パクパク食べ始めた。
 思い返せば、マニュアルとしての離乳食の時期ではあったけど、息子のタイミングではなかったんでしょうね。赤ん坊の頃の私のように、たっぷりミルクを飲みたかったのかも。それにしても、私が赤ん坊の頃は、ミルクばっかり飲んでいても、それほどの量でもなかったはず。息子は相当な量を飲んでいた。で、離乳食を食べ始めてからの息子は、バクバク食べ始めた。一口食べると、口をぱっかり開けて、はあはあ言って、次の一口を待ち受けていて、それに応えようと必死になっていると、友達に「ペース速くない?」と指摘されたのを覚えている。「えっ、みんなこんなもんじゃないの?そういえば……速い……かも。」と思ったが、とにかく必死で食べていた。こちらも必死で与えていた。
 うどん一本でも落とせば、店の中でも構わず号泣した。悔しかったのだろうか。たかだかうどん一本で、店の外に連れて出さなければならないほどに大号泣した。
 何でも挑戦する息子であったが、苦手な物が幾つかあり、特に化学調味料の味を嫌った。だから、レストランでも、うどんのダシに、化学的なにおいの強さを感じると、「ギャー!」と泣いて嫌がった。
 ……そんなにいや?と、あきれるくらい敏感だったが、これには思い当たるフシがある。
 妊娠中に、私がその匂いを受け付けなくなったのだ。だから、それまで「ダシの素」のお世話になりっぱなしだった私が、仕方なく、天然ダシを取るようになった。果たして、生まれた息子も、「ダシの素」的な味が、苦手であった。本物志向?……と思いきや、そのうち、何でも食べるようになります。外食も平気になっちゃいました。まあ天然モノの方が体にも良いので、ダシだけは相変わらずちゃんと取るようにしていますけどね。
 好き嫌いはあれど、食に関しては貪欲な息子である。