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そのうち、息子は自分で決断を下すことに慣れていった。
周りの目を気にすることなく、自分の判断に理由をつけて考え、自己主張するようになった。それはあまりにおかしいことなのではということは、改めて考えさせた。
でも、基本的に、あなたはそれで良い、というメッセージを送り続けた。
ところが。
学校に入ると、それが際立ってしまった。
一人だけ違うことに対して、それで良いと育てたはずなのに、私自身の気持ちが揺らいで仕方がない。
それは、自分が無理やり順応してきたせいで、生じる気持ちであった。
無理にでも順応しなくて良いのか、周りを見て自分をコントロールしなければいけないのではないか。それは不安となり、時には怒りとなり、時には困惑した。
息子は、発達のデコボコが激しいが、「周りの空気を読めない」ということは、比較的少ない。相手の表情を読んだり、相手の立場に立ったりできるし、キツイこと言われると動揺する。表情にも出る。こういう時に、こういう発言は慎むべきだということもわかっているし、場にそぐわないことを言ったり、唐突な発言をしたりはしない。協調性もそこそこある。私と同じく、ストレスに感じるようだけど、団体行動もちゃんとできる。
それでも、あまりにもマイペースなのである。自分がこれで良いと思ったから、人と違ってもこうする、ということがあまりにも多い。そこそこの協調性以上に、周りと合わせることも必要なのではと、つい思ってしまう。
でもふと、それは、自分が不安になって周りと合わせてきたからそう思うのではと気付いた。
息子がそうやって判断できるように育てたのに、自己主張できるように心がけておいて、結局自分が周りを見て、心配になっているだけなのだ。
息子に、自信を持って「それで良いんだよ!」と言えていない自分に気づいて、自分の考え方を改めることにした。
ただ、息子の思考の仕方のクセみたいなものがあって、それはスクールカウンセラーとよく話し合ってくれたようだ。
色々真正面から受け止め過ぎてストレスとなり、うまく消化できないでいる。その時その時は何とかやり過ごしても、長く心の傷となって積もっていく。その思考のクセを、カウンセラーは指摘してくれた。
息子は何とか、それを軽減できるよう、実践してくれている。
ただ、私はそれだけではない色々な葛藤が、学校に対して、まだあるのだ。