卒業してからは、年賀状を毎年送っていたが、どうも年賀状が面倒くさい私は、少しずつ減らしていきたくて、その中で、先生の分も削ってしまった。
 ところが。
 二年前の大地震の後、新聞の投稿欄に、久しぶりに投書が載った!という嬉しさと共に、その先生のことを思い出して、その投稿記事のコピーと、色々な思いを書いて送った。
 すると、「学年だより」に載せたよ、とその学年だよりと一緒に手紙と、新聞部の新聞が返事で返ってきた。感激した。そのままの勢いで、その返事を書くと、30枚以上になってしまい、ちょっとこれは細かくて長すぎる、くど過ぎると思い、保留にした。
 そうこうしているうちに、また投稿が載り、その先生に送った。
 しばらくして返事が来たら、そこに「今度、そちらの方に行きます。奥さんも近くの美術館に行きたがっているので、会いましょう。」と書いてあった。
 びっくり。
 会いたい会いたい、是非とも!!と思ったものの、待てよ、卒業した後に1度先生に会いに行った以来と考えると、20年以上ぶりくらいだ、そんなに「先生、先生!!」と慕ったわけでもなく、何を話すのか決めておかなければと思った。
 奥さんもどんな方なのだろう。
 夫は仕事で一緒に行けないが、とりあえず、息子を連れて行こう。
 ワクワクした。が。同時に「こっちが引くほど、老けていたり、太っていたり、やせていたり、大変貌をとげていたらどうしよう。私、きっと顔に出ちゃうだろうなあ。」と心配もした。
 果たして、当日。その時間。待ち合わせ場所で。
 ソワソワして、じっとできなかった。緊張もしていたが、緊張以上に、とにかく落ち着かなくてじっとしていられない。ソワソワってこのことなんだ、っていうくらい。で。
 先生登場!!!
 ……。
 なーんだ、変わってなーーい!!
 あまりにそのままの姿で、安心して笑ってしまった。
 奥様は、最初からニコニコ満面の笑顔で、車から降りてきて下さり、それも安心した。
 先生は「いやー久しぶり」とかなんとか言った後、普通に話しだして、私もあっという間に、生徒の感覚に戻った。
 一応用意していった質問はあるが、それが聞けたかどうだかも、もう定かではない、幾らでも聞きたいことも話したいことも出てきた。ニコニコ満面の笑顔の奥様も、特に難しい話もしないのに、知的な感じが端々から出ていて、なれそめまで聞いちゃった。
 先生が、当時、今の私より年下なのかと聞いたら、詳しい年齢も教えてくれた。でも、今の自分よりウンと若くて、ちょっとショックだった。時の経つはやさに恐れおののく。こわいーこわいー。