札幌は、人口200万人近い都会だというのに、雪が多い。都市として珍しい。札幌は雪なくしては語れない。なので、まだしばらく雪の話を続けます。
 最初は、雪道がガタガタだということに驚いた。
 車が通り、雪が多少削れた所を皆がさらに通って、タイヤの跡が結構ぼこぼこになる。さらにそれが凍り付いているので、崩れないで、ぼこぼこのタイヤの跡が残ったままなのだ。その上を走ると、当然ガタガタである。雪の上を走ると、こんなにもガタガタするのか、走ってみて初めて知った。
 車通りがとても多いところになると、除雪車も熱心に作業してくれるので、ガタガタは減る。ところが、今度はそれがツルツル。凍った白いピカピカの路面を、雪の粉が走っているような光景がよく見られる。昼間。気温が高いとそれもそれで悲惨だ。昼間に少しとけて、水分が出てきたところへ、夜の気温低下。本当に凍りついてしまうのだ。スケートリンクの上を車が走っているよう。
 走り慣れている夫でも、赤信号の手前、止まらんばかりのスピードだったにも関わらず、ブレーキを踏んだ時に、緩やかに車が傾き、止まった時には、真横を向いていた、なんてことがあった。たまにこういうことは起こるそうなので、後ろで走っていた車の人は笑って済ませてくれていた。
 そうそう、札幌で運転している人たちが頼もしく見える瞬間もある。雪が解け始める季節だ。路面の雪が削れて、たくさんのわだちができる。そこにタイヤがはまると、もう動けなくなってしまう。タイヤはスピンし、車はすごい音をたてて、立ち往生だ。
 すると、周りの車に乗っていた人々が、サッと誰かかれか出てきて、車をわだちから出す手助けをする。
 ほうら、心の中のシルクハットが見えるようだろう。って、伊集院光なら言ってくれるはずだ。そのくらい、冬の札幌人は紳士的になる。惚れ惚れする。
 こんなに大雪で住みにくい土地なのに、札幌にはそれだけの人口がいる。
 なんでしょうね、その魅力は。オリンピックが開催された後から人口が急激に増えたそうだけど、それだけで人はそこまで増えて定住しないだろう。何故なのか。
 雄大そう、広そう、のんびりしてそう。
 北海道全体は確かにそんなイメージとピッタリ合う所が多いだろう。でも札幌はそういうイメージはちょっと違うと気づいてきたでしょうか。
 それなりに大都市。札幌を少し離れるとすぐに田舎の風景が広がるのが、他の都会と違う部分かもしれないが、この大雪で、都市機能が働いているということがスゴイことだとわかるだろうか。
 魅力は、豊かな自然だけではない、機能している都会と、人々のサッパリとした合理的とよく言われる性質。札幌のことは大好きで、卑屈さもなく、すごく誇りを持っているのだが、どこそこと比べてとか、競争意識が良い意味で低いように思われる。敵を作りたがらないというか。カリカリしていない感じかな。私にはそこが魅力に思える。