映画館でどう振る舞うかというのは、日本は割と厳しいですよね。
 映画は、極力、静かに観るのがマナー、っていう。私はそれに対してのしつけは、最低限。食べ物の紙をバリバリ言わせたり、静かなシーンでズズーッと飲み物すすったり、は、もちろん子供にも注意しています。当然携帯の電源も切ります。しかしです。映画の内容に対して反応するのは良いと思っている。
 アメリカの映画館を体験したら、日本人は、何か感じているのか、と心配すらするくらいだ。今の冗談はわかったのか?主人公に共感、感情移入しているのか?映画が終わっても面白かったのか?全然わからない。パチパチ拍手し、「いいぞー!」と歓声をあげて応援し、心を動かされると涙を流し、大笑いし、終わったらそれぞれが感想を言ってザワつく映画館を何度か経験してみると、映画を楽しむってこういうことなんじゃないか?と思えてくる。以前も書いたが『ニューシネマパラダイス』を観た時にもそんな感想を抱いた。映画が本当に好きな人たちってこれで良いと思うなー、と。
 で、息子は、幼少期から、感情を抑えつけることをあまりしないよう気を付けてきたお陰か、はたまたその「せい」なのか、そこら辺を恥と思う感情の発達がちょっとのんびりのようで。良いのか悪いのかわかりません。本当は。詳しいことはまた別カテゴリーで。
 とにかく、喜びも悲しみも、怒り、悔しさ、辛い気持ち残念な気持ち、後悔や嫉妬、嬉しくて飛び上がりたくなる気持ち。他のカテゴリーでも度々書いてきたけど、すべての気持ちを、特に幼い頃は抑えなくて良いと思ってきた。それが今後社会で生きていく上で、致命的にダメなことなのか?と思った時に、子供の感情の表出は大した問題ではないと思っているからだ。むしろ、表に出すことで、自分の感情を認めながら、頑張れることもある。自分の感情に自信を持てるようになるし、それだけでなく、好奇心も育つという。泣かれてこちらがイライラしても、なるべく泣くなとは言わずに我慢してきた。どうしても抑えられない時には、キツイことを言ってしまったこともあるけど。「何かを感じる」「どう感じる」かに関しては、すべてその子の個性である。泣いているからと言って、悲しいとは限らない。悲しい場面であれ、自分の子供でもどう感じて泣いているのかは、聞いてみないとわからないものである。
 まあその血のにじむような努力(笑)あってこそ、息子の「反応の良さ」であると思っている。特に知的好奇心を刺激された時の反応と言ったら、見ていて面白いくらいだ。
 そしてそれは、周りの目を気にすると、時に恥ずかしいくらいである。やめてと言いたくなることもあるが、ただの私の恥ずかしい気持ちの問題だと思ってそこは私が我慢する。
 話を戻すと、そんなで、過去、息子と見た映画は、驚くところで声をあげて夫や私にしがみつき、悪役の裏切りには「なんでこんなことするんだ」と腹を立て、罠にハマった主人公に「何で気が付かないんだろう」とキーキーして、反応が製作者側の思うつぼというか。さすがに、心の中でその声を納められないですか、もうちょっと落ち着いて観られないものですかと、何度か思った。観客に子供が多いと、まあしょうがないと流していた。周りも「怖い〜」言う子供や、泣き出したり、笑ったりする子供、結構いたし。