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そして、秋がやってくる。
と言いたいのだが、正直言って、夏と秋の境目がよくわからんのです。夏らしい夏がほとんどないのだから、秋っていつからいつまでなんだか、私には今もわからない。
扇風機がどうしても必要、二十五度を超える夏日が全部で十日くらいあると、もう夏はおしまい。
お盆を過ぎると、もう暖房のコマーシャルが流れる。
♪フタ開ける!雪入れる!これでOK、全自動!!
という北海道の人にとってはお馴染みの融雪溝のコマーシャルが流れる。もう10年位経ってしまったけど、まだあのCMはやっているのだろうか。
冬タイヤのコマーシャルも流れる。
全部八月の中旬に。
そう、お盆過ぎると、もう涼しくなってくるのだ。
空は高く、雲も美しい。
そういえば、札幌で入道雲なんか見たことなかったんじゃないだろうか。
当然、残暑も存在しない。
秋というか、夏がほとんど存在しないのだから、なんと呼べばいいのかわからないが、秋の気配は八月からやってくる。残暑というものもない。
「残暑厳しいよね〜。」なんて声を交わしていた宝塚市民だった時代を少し懐かしくも感じてしまう。
九月はまた、気持ちの良い天候が続くが、既に長袖と上着くらいは必要だ。
そして十月、私にとっては、もう冬の始まりだ。関西では、大好きなきんもくせいの香る大好きな季節だがきんもくせいは寒すぎて育たない。なので、きんもくせいの香りにも包まれない。寂しい。秋が好きな理由の一つに、きんもくせいの香りがするからとか言っていたが、そんなものは存在しないのだ。で、下旬に初雪が降ったりする。
その初雪に関わる有名な物が「雪虫」だ。
雪虫とはアブラムシの一種だそうで、白いフワフワのとても小さな虫である。ふわふわとチリが飛んでいるように、群れをなして舞う。それを見ると、だいたいその後一週間から十日くらいで、初雪が降る。
札幌は、日本海に近いので、北海道の中でも雪が多い方である。長年住み慣れている人にとっても、雪は厄介で面倒なものだ。雪かきなど、うっとうしくて大変な作業が待ち受けている。なので、雪はありがたくない。雪虫が出ると、仲間の間で話題になる。
「ちょっと!今日、雪虫見たよ!」
「えぇっ!!」
それはつまり、もうすぐ雪の季節がやってくるという意味だ。少しうんざりしつつ、これからのしばらくの苦労を思うと、なんだかヘラヘラと笑うしかない。あーもうその季節が来てしまったのかと。