札幌の八月と言えば、アジサイとコスモスが同時に咲いている季節。
 「八月なのに、コスモス咲いてるよ。アジサイもあるじゃない。変だよ。」などと必死に夫に訴えるが、「そうお?コスモスっていつ咲くの?」とか言われる。
 コスモスは、秋の桜と書くんだから、秋だよ。九月だよ。ちょっと涼しくなってから。と言いかけて、そうか、涼しいから八月でも咲くんだ。とか当たり前のことに気づいて、また脱力してしまうのであった。
 札幌の人たちは、短い夏を一生懸命楽しむ。そう、「一生懸命」に見えます。
 まだ肌寒い頃から、外で我慢してジンギスカンを食べ、やっと半袖で良いかなと思う頃に、ノースリーブを着て頑張っている。ちなみに、私は札幌にいる間、ノースリーブを着る機会がなかった。
 「せっかく持っているノースリーブの服を着る時がない!」これも何度も夫に訴えては困惑させていた。「そんなこと言われても。」
 そのうちノースリーブはあきらめて、札幌に住んでいる間、着ることも買うこともなくなった。でも、地元に長年住んでいる人は違う。頑張ってノースリーブを着る。いや、もしかしたら、頑張っていないのかもしれない。体感気温が私などとは違うのかもしれない。
 そして、テレビ塔の見える大通り公園では、皆、日焼けをするために寝転がっている。
 最初は、その光景にも驚いた。開放的で、ニュージャージーやニューヨークを思い出す。広い公園で、ただ座っていたり、寝転がっていたり。若い男の子なんか、上半身裸になって、日焼けしているのだから、のんびりしたものだ。
 札幌から海は結構近い。小樽の方面に車を走らせれば、綺麗な海が見える。砂浜もいくつかある。しかし、海で泳げるほど暑い日というのが、あまりない。水温が冷たい。ので、海行ったって、あまり楽しめないし、わざわざ砂浜に行かなくても、公園で焼けば良いじゃないかと思うらしい。
 他に、大人にとっての夏といえば、ビアガーデンもその一つ。これもまた札幌に来て驚いた光景があった。ビアガーデンて、ビルの屋上などに多い。関西に住んでいた私はそう認識している。
 しかし、札幌のビアガーデンは違う。
 札幌駅前の広場や、大通り公園にある。そこでは、大人も子供も飲食を楽しんでいるのだ。そしてここでどうしても付け加えておきたいのが「寒さに耐えながら」だ。
 夏とは言え、昼間もさほど暑くないのだから、夕方になると当然寒くなる。
 「ちょっと寒いよね。」
 などと言って我慢しつつ、雰囲気だけを楽しむ。
 寒く感じるのは、風が吹くだけではない。湿気が少ないので、余計暑苦しい感じから遠くなる。
 そんな札幌の夏でした。
 しばらく札幌のことはお休みしていましたね。また時々更新しますね。