「お笑い」のカテゴリーに入れようか「子供」のカテゴリーに入れようか、「言葉」かな、いやいや「その他」かなとか、ちょっと迷ったけど、最終的に音楽の話になっていくので、結局「音楽」のカテゴリーに入れることにした。
 ちょっと話題になっているので、ご存じの方も多いと思いますが、鉄拳というお笑い芸人がいます。調べることもせず、ただただ記憶をたどっていきながら、書いていきます。
 お笑い芸人のネタ番組が、やたらに多かった時期、『笑いの金メダル』という番組がありました。そこで、鉄拳は度々ネタをやっていました。それより前からちょこちょこ観る機会はあったのだけど、「こんな○○はいやだ」と言って、フリップに描いた絵を見せながら、普通ならこうあるべきなのに、こんなだったらいやだなーという内容の物を次々と見せていくようなネタでした。絵が上手で、想像力もかきたてられるし、ちょっとブラックなところも含めて結構鉄拳のネタは好きで、ダンナとよく笑っていた。
 確かその『笑いの金メダル』で、自身の実家を訪ねていた場面がありました。
 もう私たちにはだいぶお馴染みとなっていた鉄拳だったけど、自分の親に「お笑い芸人をやっている」とは話していなかったらしく、ちょっとびっくりしました。怖いお父さんてことで、話すことにも勇気が要ったみたい。番組の力も借りつつの打ち明け話に、その怖そうなお父さんは、静かに驚いていたようだったけど、受け入れていたみたいでした。その後、お父さんは、喜んでいたということを何となく聞いたけど、それから何年も経ち、そういえばと思い出したり思い出さなかったり。
 で、ある日のことですね。チャンネルを変えていたら、タレントが、パラパラ漫画を描いて、皆の心を動かすというコンテストのようなことをやっていた。麒麟の川島の絵や内容も可愛くて気に入ったのだが、衝撃的だったのは、鉄拳の絵だった。そのあまりに胸を打つ内容を見、曲も合っていて、深い感動に包まれてしまった。
 すごいぞ鉄拳!あの人からこんな物が湧いて出てきているなんて。
 そして、さらに数年。彼のパラパラ漫画が認められたのか、DVDになった。
 塗りたくられた彼のいつもの顔から、初めて笑顔を見た。私はその笑顔を見て、息子を想うような気持ちになった。やっと彼は、皆の前でも心を少し溶かしたのだなと思って、胸が熱くなった。
 DVDは、夫にねだって、プレゼントしてもらった。色々な内容の物があり、でも、最初に観た衝撃のパラパラ漫画は、最初に観た曲が合っていると思い、インターネットで調べた。
 すると、イギリスの、museというロックバンドのものだった。結構有名らしい。
 グラミー賞とか、ロンドンオリンピックとか、なかなか大きな舞台で聴かれていて、でも「ほーそうなんだー」という程度に思っていた。