初めての、「当時の合コン」への参加。
 女子中学〜高校に行き、そのまま女子大に進んだ私。デートもほとんどしたことがなく、もちろん飲み会もほとんど経験がなく、しかも、こちらも好奇心で行くものの、相手たちにも品定めされているという意識の中、とても緊張していたということを考慮に入れても、めちゃくちゃ恥ずかしいことがあったのだ。全然大きなことではない、本当に些細なことなので、誰も気にはとめていないだろうが、私にとっては今でも忘れられないことがある。
 居酒屋で皆で楽しくお喋りした後、ぞろぞろと喫茶店に行き、飲み物を頼んで飲んだ。
 その時に、何を頼んだか忘れたが、私にはガムシロップが付いてきた。そのガムシロップの容器が、その時の私には、非常に難しいものであったのだ。片手で入れるのだが、取っ手を持ちながら、親指で上のフタをパカッと開ける……のではなく、「滑らす」のであった。この「滑らすタイプ」に出会ったのがその時初めてで仕組みがわからなかった。親指に力を入れても、パカッと開かないので、親指にかなり力を入れてみたら、前の部分が少しすべって開いた。「あっ、すべって開くのか」と思ったのだが、これがなかなかうまくいかない。下にかける力ではなく、後ろに引く力が必要なのだが、どうしたらフタがすべって開くのか、その時はどうしてもわからず、どんどん親指に力を入れていった。さらにやっと少しフタが開き、ガムシロップを投入できる段階に来たころには、もう親指の力はこれ以上出ないくらい入っていて、ガムシロップの容器はブルブル震えていた。緊張からではない。もうありったけの力が親指に集中していた。ブルブルに震えた状態のまま、ガムシロップ投入!……しかし、一瞬だったのに「投入できた!」と満足してしまったのか、その瞬間、親指への集中力がなくなり、一気にフタが閉じた。「はっ!閉じてしまった!!」慌ててまた親指に力を集中。ブルブル。やっと少し開く。いまだっ!!投入!やったっ!!
 そんなわけで、何とこれを合計三回くらい繰り返してしまった。
 初めての合コンだし、何なら相手の男性陣も合コンが初めてっぽかったので、誰もツッコミを入れてくれなかった。(*ちなみに関西のそういった集まりでは、本来、原則的に女性もツッコミができないと、男性陣に注意されます。そうやって鍛えられます。)
 もう恥ずかしくて仕方なかったのだが、入れかけたガムシロップの手を止めることはできなかった。ブルブル震えたまま、やっとのことで、ちょびーっとずつ、3滴ほど入れたガムシロップ。本当に恥ずかしかった。
 それからしばらく、ガムシロップの容器を触ることにひどく抵抗を感じた。容器の種類によって、どうやったら開くのかよくわからなくてね。
 何年もして「あれっ?これどうやったら開くのかな?」っていうようなことを平気で言い合えるダンナと出会えて良かった(笑)。その後は、もう年齢や経験もあり、「どうやって〜するの?」というセリフに、恥ずかしくもなく、抵抗を感じなくなっていく一方なのだが、あの時のことを思い出すと、いまだに、どうしても恥ずかしい。いっそ「あれっ?」って言った方がきっとウケが良かっただろう。皆も気持ちよくその時間を過ごせただろう。
 って、そんな大げさなものじゃないか。