さて、カタカナ表記に疎い私だが、そういう「あのカタカナは、実は英語のあれから来ているのか!」という、最近の私にとっての大発見が幾つかある。
 例えば、「ハンチング帽」。これもさんざん「ハンチング」と口にしてきた。昔、狩りの時にかぶっていた帽子だということも知っている。知っているのに、である。
 ある日、おじいさんがハンチング帽をかぶっているのを見て「ハンチング帽かぶっていると、男の人っておしゃれに見えちゃうなあ。あれが似合うって便利だよなあ。でも、ハンチング帽は昔狩りの時にかぶっていたんだよなあ。それがおしゃれなんて面白いもんだなあ。狩りの時ねえ……狩りの時……。狩り……。んんん??」そう、その時、頭に「hunting」という言葉が漂っていた。もしや……。これも例のアレか。でもさあ、ハン「チ」ングってそんなあからさまに「チ」って発音されるとさあ。
 そして夫に確認してみた。おおいに呆れられた。
 そして「じゃあ、もしかしてこれにも気づいていない?‘ツートン’が、two tone。」
 「……!!」
 内心おおいにびっくりだ。これもずっと言ってきたのに、長年気付かなかった。でも、「ああ、なるほど。そうだよね。そういえばそれも気づかなかったかも。」とか平静を装ってみた。でも、つい何度も「two……ツー……tone……トン……two tone……ツートン。なるほど。ツー……トン……two toneね……。」とかもごもご言ってしまった。「えーやっぱり気づいてなかったのお?」とあきれ顔のダンナに「だって。なんでtoneがトオウンてならないの?twoはトゥーだしさあ。なんでツーで、トンなのよ。」と、「なんでなんで」と言っている割に全然説得力のない表現で、不満を言った。
 さらに驚いた言葉は「プリペイドカード」。ダンナが「もしかして、プリペイド(も気づいていないんじゃ)……。」と私に聞いてきた。「えっ?……あっ!ペイ?」と言ってから「ペイド(支払われた、かあ)」に気付き「‘り’は‘re’かな」と思った時に「pre」に気付いた。「あっ!preでpaidか、pre payのことなのかあ!!」アメリカで「prepaid」という単語に出くわしたことがないが、よく考えてみれば、ちゃんと「pre」と「paid」、英語である。「ええ〜〜?!それすらも!!」と絶句しているダンナの横で「だって!!‘プリぺードカード’じゃない。Prepaidじゃないじゃなあーい!!」とか言いながら、やっぱり恥ずかしいのである。
 アメリカ英語が「正しい」とは言ってません。元々の別の国の言語を、アメリカ人がアメリカ的に発音してしまっている言葉もたくさんある。「godiva」のチョコレートとか「ikea」とかね。アメリカにいると、それはそれで混乱してしまう。だけど、何よりも、私はただただ、カタカナ表記が苦手なのだ。
 これからもまだ、次々と出てくるだろう。常識として皆が知っているような英語のカタカナ表記。私は気づいていないということ。なんだか怖いような。自分のアホさ加減が露呈するのが悲しいような。